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開業が間近に迫る【西九州新幹線】の期待と課題

財界オンライン / 2022年9月16日 18時0分

開業を控える西九州新幹線

西九州新幹線が9月23日に開業する。沿線の佐賀、長崎両県では観光客増加への期待が高まり、ホテルや商業ビルの建設など再開発が進む。

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 一番列車の指定席切符は発売から10秒で完売するなど前評判は上々だが、武雄温泉(佐賀県)―長崎の66キロの開業区間が九州新幹線鹿児島ルートとつながっておらず、どこまで利用者が増えるかは不透明。関係者には期待と不安が交錯している。

「快適で便利だと分かってもらえれば乗客は増えると思うが、高速バスがたくさん走っている中、どれだけ勝負できるかはクエスチョンマーク」。今春、JR九州社長の古宮洋二氏は一抹の不安をのぞかせた。

 西九州新幹線は、博多(福岡市)と長崎を結ぶ九州新幹線長崎ルートの一部だ。開業後、博多―長崎が最短で1時間20分となり、既存の在来線特急の現在と比べて30分短縮される。鉄道・運輸機構によると、鹿児島ルートが11年に開業して熊本や鹿児島と関西の地域間流動量が1.3倍となっており、西九州新幹線の開業効果にも期待がかかる。

 不安材料は、需要地の博多を発着駅とする場合、武雄温泉で特急と新幹線の乗り換えが必要となることだ。利用者に階段の上り下りをさせないため、同一ホームで3分程度で乗り継げるようにするが、バス関係者は「福岡・天神と長崎を2時間程度で結ぶ高速バスは鉄道より運
賃が安いだけでなく、乗り継ぎもなく荷物を抱える旅行者には選ばれるのでは」と指摘する。

 長崎ルートが一般的な新幹線の「フル規格」で全線開業すれば博多―長崎は約50分となり、優位性が際立つが、佐賀県内の新鳥栖―武雄温泉(約50キロ)の着工に見通しが立っていない。国土交通省はフル規格での整備を求めるが、県側は660億円と試算される負担金などに難色を示し、整備方式を巡る議論は膠着している。

「佐賀が通せんぼするのはおかしい」との声も上がるが、当面は利用者に乗り換えの不便さに我慢してもらうしかなさそうだ。

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