副社長が相次ぎ退任 後継者難続く『ソフトバンクG』
財界オンライン / 2022年9月30日 7時0分
副社長全員が会社を去る事態に――。
ソフトバンクグループ(SBG)は、副社長のラジーブ・ミスラが辞任すると発表した。SBGによると、「新しいチャレンジをする時間を確保するため」として本人から申し出があった。新興企業に投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の運営責任者は続けるものの、SBGへの関与が希薄になることは必至だ。
かつてSBGの副社長は3人おり、いずれも孫正義会長兼社長の後継候補と目されていた。だが、2021年3月、ゴールドマン・サックス証券副会長や、ゆうちょ銀行副社長などを務めた佐護勝紀氏が退任。22年1月には、米携帯電話販売会社ブライトスターの創業者でSBGでは海外事業を統括していたマルセロ・クラウレ氏も退社。さらに今回ミスラ氏が退任し、副社長はゼロとなった。
SBGの業績は厳しい。22年4-6月期連結決算は、当期損益が日本企業として過去最大とされる3兆円超の赤字だった。米国のインフレ進行や金利上昇の影響で新興企業の株価が下落するなどし、SVFをはじめとする投資事業で多大な損失を出したためだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、8月26日のジャクソンホール会議で、インフレ抑制のための金融引き締めを「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べた。米国の利上げの勢いは止まらないとみられ、スタートアップの株価低迷は続く公算が大きい。
孫氏は8月に開いた22年4-6月期決算説明会で「(22年1-3月期も含めた)6カ月間で約5兆円の赤字を出したことをしっかりと反省し、戒めとして覚えておきたい」と述べた。
SVFの運営コストを削減するなど、当面は守りの采配に徹する方針。一方で「経営に対する意欲はますます高まっている」とも語った。苦境を乗り切った後の投資戦略はまだ見えていないが、後継者問題はこれまで以上に解決が難しくなっており、しばらくは孫氏が最前線に立ち続けるしかないようだ。
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