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【外務省】円安でODA総額が目減り 日本の影響力低下を懸念

財界オンライン / 2022年9月24日 11時30分

外務省が急激な円安の悪影響に苦しんでいる。アジアやアフリカで日本のプレゼンスを示すための政府開発援助(ODA)の総額が、実質的に目減りしてしまうためだ。

 同省は8月末、来年度予算の概算要求として7961億円を計上。このうち約5千億円をODAの費用に充てる計画を立てた。この中には、アジアへの投資を通じて影響力を強める中国に対抗するため、質の高いインフラ整備や海上での治安活動を支える「国際秩序の維持・発展」に資する支出1100億円も含んでいる。

 問題は、支出を算定する際に使うレートだ。2022年度は1㌦=108円を使ったが、23年度予算の概算要求では1㌦=123円。ODA予算は前年度から増やす方針だが、外務省幹部は「急激な円安の影響で、増額どころか、実質的には減額になる可能性もある」と頭を抱える。

 ODA予算の重要性は年々増している。中国は東南アジアやアフリカで有償のインフラ整備などを急速かつ重点的に進め、影響力を強めている。スリランカのように債務返済が難しくなると、一方的な条件でインフラ施設の賃借権を設定するなど「債務のわな」でかすめとる手法も目立つ。

 日本のODAは、資金供与だけでなくインフラ整備のノウハウ提供や現地人材の育成を担うなど、質の高さが評価を集めている。その武器が目減りするとなれば、外交そのものへの影響も少なくない。

 来年度予算でODAの予算規模を一定水準に保つためには、「林芳正外相の交渉力に頼るしかない」(同省局長級)のが実情。外相を5年以上務めた岸田文雄首相に直談判することになりそうだが、政府全体でも防衛費の大幅増など難題を抱えているだけに、交渉の行方には不透明感も漂う。

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