東宝・松岡宏泰社長が語る「アニメ事業を映画・演劇・不動産に次ぐ第4の柱にしていく」
財界オンライン / 2022年10月13日 11時30分
「アニメが成長しているからこそ、海外展開やグッズ販売、ゲーム展開といった他社に任せていたことを自ら手掛けることができるようになってきた。その意味では、非常に大きな原動力となってくる」─。今年5月に東宝の社長に就任した松岡宏泰氏は同社の方向性について語る。
【東宝・松岡宏泰新社長が登場】演劇・映画・不動産に次ぐ「第4の柱」にアニメ事業を据えた理由とは?
コロナ禍で映画産業もダメージを受けたが、同社のアニメ作品『劇場版 呪術廻戦 0』が日本での興行収入で約138億円、海外での興行収入で約123億円(9月21日時点)を記録するなど、事業に幅があるアニメの可能性は大きい。
『ドラえもん』をはじめ、『名探偵コナン』『クレヨンしんちゃん』『ポケットモンスター』といった大ヒット配給アニメシリーズを数多く持っていることに加え、『ゴジラ』はもちろん、今年は『シン・ウルトラマン』を公開。実写特撮の高い実績を持つ同社。
「ウルトラマンという50年以上前の作品を現在に蘇らせても興行収入約44億円の大ヒットになる。ファミリー層はもちろん、当時を知る年齢が高めの方を中心に楽しんでいただいている」。日本のIP(知的財産)に潜在力を感じる。
2023年2月期第1四半期の業績も営業収入は約618億円、営業利益約142億円と増収増益。コロナ禍に伴う映画館の休館などがほぼ解消されたことに伴う入場者数の増加が主因だが、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』などのヒット作品が業績に寄与している。
32年の創立100周年に向けて25年までの3年で約1100億円程度を投資する。コンテンツ関連に500億円、不動産関連に500億円。新規のシネコン出店と海外展開・DX関連に各50億円ずつだ。ただ、大型のM&Aへの投資はこれとは別枠で用意しており、積極投資の3年間になると言える。
コロナ・ウクライナ両危機にあって、人々の笑顔が失われるときもある。そんな世相を明るくするという意味でも映画産業の役割は大きい。その点、「当社は人々に夢や希望を、娯楽を通じて提供する会社だ」と自社の使命と役割を語り、創業者で曽祖父でもある小林一三氏の創業の理念を堅持する考えを示す。
一番好きな映画にスティーヴン・スピルバーグ監督作品の『E.T.』を挙げる。内容もさることながら、この映画を知ったきっかけとなったのは、高校生だった当時のクラスメイト伊藤公平氏(現慶應義塾長)からの薦めだった。人の縁を感じる日々だ。
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