【財務省】物価高対策とコロナ対応で財政支出は不可避の情勢
財界オンライン / 2022年10月9日 15時0分
政府は9月20日、物価高対策と新型コロナウイルスへの対応のため2022年度予算の予備費から総額3兆5千億円の支出を決めた。ガソリンなど燃油補助金を継続するために1兆3千億円、低所得の住民税非課税世帯に1世帯当たり5万円を給付するため9千億円を確保する。コロナ対応の病床確保に活用できる緊急包括支援交付金の増額に8千億円を計上した。
同日の閣議後会見で、鈴木俊一財務相は「予測困難な事態に対し臨機応変に対応していくため、国民の命と暮らしを守る観点から適切な対応だった」と説明。「国会や国民に対し、説明責任を果たし、丁寧な説明に努めたい」と語った。
だが、財務相の諮問機関である財政制度等審議会はコロナ禍で予備費が約16兆円使われたことを踏まえ、「初期に財政出動を行うのは当然だがエビデンスに基づいて柔軟に方向性を変えることが必要」と予備費の膨張を批判している。その点を問われた鈴木氏は「放漫な支出はあってはいけない」と強調。その上で「常に、不断に検証をするという態度が必要だ。財政当局としてもしっかり検証していく」と述べた。
ただ、政府・与党内にはすでに鈴木氏の歳出改革は”空手形”に終わりそうな雰囲気が漂う。
自民党の萩生田光一政調会長は9月15日、物価高対策として30兆円規模の支出が必要だとぶち上げた。しかも前日14日夜に岸田文雄首相と会食し、経済政策で意見交換した直後だったため、ある程度の規模の財政支出は不可避の情勢になっている。
各世論調査で内閣支持率の下落が続き、反転攻勢の材料が乏しいだけに与党の要求をある程度飲まざるを得ない。政府内には低所得者だけでなく幅広い世代への現金給付も取り沙汰されるなど、歳出圧力は増すばかりだ。
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