【農林水産省】持続可能な農林水産業を促進 「みどり法」本格運用が開始
財界オンライン / 2022年10月14日 15時0分
調達から生産、消費にわたる食料システム全体の環境への負荷軽減を目指し、農林水産省は7月施行の「みどりの食料システム法」に基づく国の基本方針を示した。これにより、同法の本格運用を開始。生産量を下げずに、温室効果ガスの排出削減や吸収につなげる取り組みを推進し、農林水産業の持続的な発展を促す。
近年、世界的な異常気象による農産物の不作で、穀物の国際相場は不安定化している。同省によると、日本の年平均気温は100年あたり1・28度の割合で上昇。大規模災害の増加や病虫害の発生による農産物の品質低下が生じ、温暖化の影響が表面化している。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、産業革命前から1・5度以上の温暖化で、トウモロコシがさまざまな地域で同時期に不作となるリスクが上昇すると指摘。2度になると、熱帯など多くの地域で主食作物を栽培できなくなるとの見通しを示した。
農水省は持続可能な農業を目指し、昨年策定した「みどりの食料システム戦略」で、50年までに燃料燃焼による二酸化炭素排出をゼロにする数値目標を設定。化学農薬・肥料の使用量低減や耕地面積における有機農業の割合を25%に引き上げる考えだ。
国の基本方針に基づき、都道府県はそれぞれが主導し、定量的な目標を掲げた基本計画を策定する。環境負荷の軽減につながる取り組みを認定した生産者を対象に、税制優遇や融資の特例措置などで後押し。モデル地区を設け、地域ぐるみで先進的な取り組みを目指す。
昨年度から関連の交付金を活用した取り組みも動き始めており、化学肥料・農薬の低減やスマート農機の導入に使える「グリーンな栽培体系への転換サポート」が人気だ。一方で、「みどり戦略の浸透が乏しい」との声も今なおあり、農業現場の理解を深める努力は欠かせない。
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