みずほFGが楽天証券に出資 背景には楽天の苦境
財界オンライン / 2022年10月20日 7時0分
楽天は携帯電話事業の赤字が重荷に
みずほフィナンシャルグループ(FG、木原正裕社長)が楽天証券に2割(約800億円)出資することを決めた。みずほの対面サービスと、楽天が持つネット取引基盤を掛け合わせた『ハイブリッド型の総合資産運用コンサルティング』を展開することが狙い。
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楽天証券は約805万口座を有し、SBIHD傘下のSBI証券(883万口座)と並んでネット証券2強を形成する。関係筋によると、今回の出資話は楽天側が打診したもので、7月下旬以降、みずほの他、三菱UFJFGや大和証券グループ本社にも声を掛けていたという。
実はみずほ内には慎重論があったようだ。ネット証券ではすでにソフトバンクグループと「PayPay証券」を共同運営しており「楽天証券への資本参加は戦力の分散につながるだけ」などと疑問視する声があったためだ。
だが、ペイペイ証券の口座数は約32万口座と楽天証券の10分の1にも満たない。さらに、SBIHDが今夏、メインバンクのみずほの頭越しに、ライバルの三井住友FGと証券も含むネット金融分野で資本提携したことへの危機感もあったようだ。
一方、楽天側には、ネット通販に次ぐ「虎の子」事業の楽天証券を差し出してもまとまった外部資金を調達したかった事情がある。鳴り物入りで参入した携帯電話事業の不振で、22年1―6月期の最終損益が1766億円の赤字(前年同期は770億円の赤字)に陥るなど厳しい経営状況が続いているためだ。
両社の補完効果は期待できる。みずほ証券は店舗など対面型営業で中高年層に強みがある一方、楽天証券は金融取引もスマートフォンでこなす若い世代の顧客を持つためだ。
当面は、みずほ証券が楽天証券の顧客に対面型コンサルティングをしたり、みずほ証券が引き受けた株式や債券を楽天証券に販売委託したりすることが想定されるが、先々はみずほ証券の投信を買ったり、みずほ銀行の住宅ローンを利用したりした顧客にも楽天ポイントを付与するなど、楽天経済圏の中で双方の顧客が回遊する仕組みづくりが不可欠になる。
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