【トヨタ】がEVを生産再開へ 日産やベンツが攻勢をかける
財界オンライン / 2022年10月24日 18時0分
電動化で主導権を握ろうとしているトヨタ自動車の電気自動車(EV)戦略で出遅れ感が出てきている。同社のEV戦略の先陣を切る役割を担うはずだった初の本格量産のEV「bZ4X」に不具合があったからだ。
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もともと「bZ4X」は今年5月から発売を開始していたが、6月に国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出ていた。車両にタイヤを固定する「ハブボルト」が緩む不具合が原因。販売停止からの3カ間をかけて原因がボルトの締結力の不足と判明し、全車両で新設計のボルトに交換するほか、日本、北米、アジア、イスラエル向けの一部車両はホイールも換える。
10月6日、同省に原因と対策を提出し、生産は同日以降順次、サブスクリプション(定額制)サービスで展開する国内販売は26日から再開する。兄弟車でトヨタが生産するSUBARU(スバル)のEV「ソルテラ」も生産、販売を再開する。
初年度5000台としていた国内販売計画は、半導体不足などによる生産調整も重なり、見直しが必要とのことから下方修正される可能性が高い。アナリストは「EVはガソリン車と構造が異なり、負荷がかかる箇所も違う。すぐにトヨタは改善策を講じることができるだろうが、不慣れな領域だったこともあり、不具合が発生したのではないか」と指摘する。
トヨタのEV再スタートを横目に国内外メーカーの動きは活発だ。例えば日産自動車の軽EV「サクラ」は今年6月の発売以来、4カ月連続で首位を記録。メーカー希望小売価格は200万円台だが、国や都道府県の補助金を使えば200万円を割り込む。手頃感が受けている。
一方の海外勢では販売する新車を2030年にも全てEVにすると宣言している独自動車大手ダイムラーの高級車事業会社、メルセデス・ベンツが日本では最多となる5車種のEVを展開する。ベンツはトヨタの高級車「レクサス」ともぶつかる。レクサスもEV専業を目指しているが、ラグジュアリーブランドではベンツに先を越されている。
静かだが着実に広がりつつあるEV化。その中でトヨタはハイブリッド車や燃料電池車を含む多彩な電動車を揃える全方位戦略を維持しているが、環境はガラリと変わっているだけに、bZ4Xが命運を握る。
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