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【株価はどう動く?】2022年は「波乱相場」が続く。来年「日本買い」は始まるか?

財界オンライン / 2022年10月20日 11時30分

ジャクソンホールショックが日米の相場に与えた影響
 今回は短期の相場の動きを中心に解説したいと思います。

【あわせて読みたい】【株価はどう動く?】菅下清廣氏が直言! 「長年の課題であるデフレを脱却し、これから日本株買いの時代が来る」

 まず、日米の株式市場共に、2022年8月26日に開催された「ジャクソンホール会議」でのFRB(米連邦準備制度理事会)議長のジェローム・パウエル氏による演説が、予想に反してかなり強い金融引き締めだったという「ジャクソンホールショック」の影響を受けました。

 株価はその後急落し、その余波は9月いっぱいまで続きました。1つの悪材料で株価が下落する場合、1カ月くらいが一番短い日柄ですが、ちょうど1カ月下げて、ニューヨークダウの安値は9月30日の2万8715ドルでした。これが「ジャクソンホールショック」を織り込んだ安値です。

 ナスダックも同じく9月30日に1万572ポイントを付け、ここが底値になって、今リバウンドしています。リバウンドの理由は、ジャクソンホールショックで下げ過ぎたことです。今後もFRBによる利上げ、引き締めは続くものの、それを過度に嫌気したということです。

 例えば、ニューヨークダウを見ても10月4日には825ドル高となっています。以前から指摘していますが、米国の株価はすでに天井を打っており、これは天井圏の動きです。

 天井圏では「波高き相場」、波乱相場となります。天井圏で「まだ上がる」と思う人と、「ここが売り場」と思う人が対立し、強気筋が買った時には大幅高となり、弱気筋が買った時には大幅安となるのです。しばらく、この展開は続くと見ています。

 ナスダックの天井が2021年11月22日ですが、日柄で見ると12から13カ月、今年の年末から来年初めにかけて、この波乱の展開に決着がつくことになります。

 どう決着がつくかというと、波乱相場の後、駄目押しの下げが年末以降やってくるのか、今の波乱相場の間に当面の底入れをして、年明けくらいから利上げを織り込んだ反騰相場が始まるのか、これが年末年始くらいでわかることになります。

 楽観シナリオとしては、米国の利上げ、金融引き締めが続き、それを織り込む株価の下落が続くのと同時に、それによってインフレが和らいできます。いわゆる「利上げ効果」が出て、それによって波乱の展開が終わり、再びニューヨークダウ、ナスダックが上昇を始め、来年の年央くらいまでに二番天井を付ける展開になる可能性があります。

 10月初旬の株高は、ジャクソンホールショックによる下げ過ぎの反動高ですから、目処は半値戻しです、ニューヨークダウでいうと3万3000ドル近辺、ナスダックでは1万3000ポイント近辺になります。 

 ニューヨークダウは、22年1月5日の3万6952ドルが一番天井となり、その後下げて押し目を入れて、4月21日に3万5492ドルで二番天井を付けました。

 6月17日に3万ドルを割れて2万9653ドルを付けた後、8月16日に3万4281ドルまで戻ったのです。これが戻り高値、売りの急所です。その後、前述のジャクソンホールショックで大きく下げて、6月17日の安値を下回ってきました。

 そして9月30日に2万8715ドルで当面の底入れをして戻っています。しかし、せいぜい8月16日の戻り高値くらいまでの戻りだろうと見ています。

 ニューヨーク株が楽観シナリオとなれば、当然それに連動して日経平均も上がってきます。問題は悲観シナリオで、さらに下落する、あるいは底値圏での揉み合いになった時に、日経平均も同じ展開になるかです。

 私は日経平均は、悲観シナリオの場合、一時的に連れ安になったとしても、その後ジリ高になると見ています。その理由は、日本は米国と違ってインフレではないことに加え、金融緩和が続いているからです。さらに岸田政権が景気対策を打ち出し、それを材料に株価が上がる可能性もあります。

「インフレ退治」はいつまで続くのか?
 2023年以降の日米の株式市場の動きを考えると、米国はいつまでインフレ退治のための利上げを続けるかという読みが大事になります。早ければ年内、遅ければ来年年央まで続くことになります。

 長引けば長引くほど、景気後退、リセッションにつながりますし、そうなると、米国株も頭打ち、低迷することになります。いずれにせよ、米国のインフレ退治のための利上げが続く中では、株価は波乱の展開が続きます。

 一方、米国のインフレによって、日本もデフレを脱却して、来年4月以降には長期金利が1%、あるいは2%を付ける可能性も出ています。これは日本経済にとってプラスです。物価目標2%を、日本銀行が何もせずとも達成することになります。これによって、欧米に比べて日本の景気がよくなる可能性すら出てきます。

 今後、円安によってインバウンド(訪日外国人観光客)が復活して、日本の消費が伸びることだけでなく、日本全体が今や「バーゲンセール」となっています。ですから、世界のマネーが日本の商品、株、不動産を買う展開が、23年以降一層加速されるかもしれません。

 一言で言えば、23年は「欧米売りの日本買い」というのが、世界のマネーの大きな流れになると見ています。

 岸田政権や日銀の新総裁が政策対応を誤らない限り、元三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二さんが指摘する「ゴールデンサークル」の波に乗って、日本経済は欧米に比べて好調、株価上昇という展開も期待できます。

 そうなると来年年末には、バブルの頂上である日経平均3万8915円に限りなく近づく、あるいは突破するというのが楽観シナリオです。

 中立シナリオは、どこまでも米国株の動きに連動、悲観シナリオは、日本は円安という好機を迎えているにもかかわらず、デフレを脱却できず、株価も低迷ということになります。

 次の3年、日本経済と株価の命運が決まります。


すがした・きよひろ
投資家、投資戦略家(ストラテジスト)。学校法人立命館顧問。近畿大学世界経済研究所客員教授。政財界の幅広いネットワークで新興企業、ベンチャー企業の支援や金融顧問を務める。また、経営者や個人投資家向けのセミナー、フォーラム、勉強会などを主宰。菅下清廣の音声配信サービス「スガシタボイス」の次回の募集案内は無料ブログ「スガシタレポートオンライン」http://www.sugashita.jp/から告知します。『最速で最大の結果を出す!投資家が選ぶ「成長株」50銘柄』(KADOKAWA)、『株は波動が9割』(実務教育出版)、最新刊『史上最強の資産インフレ相場で大化けする日本株を買え!』(徳間書店)が好評発売中!

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