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【ずいひつ】メガネトップ・冨澤昌宏社長が語る2代目経営者の役割

財界オンライン / 2022年10月31日 11時30分

2代目としてメガネ業界でトップを維持するために 家電お試しサービスを展開する【レンティオ・三輪謙二朗社長】の転機

 28歳─。2009年に当社の創業者であり、私の父親である現会長の冨澤昌三から経営のバトンを引き継いだときの私の年齢です。父はいわゆるカリスマ経営者。全国にある店舗に足繁く通い、顧客の声に耳を傾けてきました。

 父は1980年にメガネ販売店「メガネトップ」をオープン。2006年には当時のメガネ業界では当たり前だった「フレームとレンズが別料金」というメガネの料金設定を「メガネ一式1万8000円(税抜)、レンズ追加料金0円」とした「眼鏡市場」へ業態転換して業界に一石を投じました。

 当時、メガネ業界には、広告などを見て安いと思って来店するも、検査をした後で高価なレンズを勧められ、値段が吊り上がるといったことがあり、価格の不明瞭に対するお客様の不安がありました。そこで父は明朗会計を掲げ、その不安を解消したのです。このコンセプトが話題を呼び、「眼鏡市場」は初年度には84店舗、2007年度には年間で319店舗を出店しました。

 今では国内店舗数が1000店を超え、売上高も約820億円と業界トップになりました。ただ、「眼鏡市場」は、お手頃な価格にこだわって品質に妥協しているわけではありません。メガネの世界的産地である福井県鯖江市に自社工場を保有し、地元の職人の方々とも幅広くネットワークを構築しています。

 販売構成比でプライベートブランド製品が85%を超えているように、安定的な商品の製造や品質管理ができるため、スケールメリットを活かしてコストを抑えることができています。

 また、常にお客様の声をアンケートで汲み取るようにしています。不満や要望があれば随時、対応し、来店動機なども分析しています。結果、「眼鏡市場」はリピーター率が高いことが特長となっています。顧客のニーズを把握して、商品やサービスの改善を積み重ねてきたことが成長につながっていると自負しているところです。

 メガネ業界は他の業界と比べ、コロナ禍でも市場が横ばいを続けています。リモートワークやパソコンで作業するケースが増えたことで、コンタクトレンズからメガネに切り替えたり、オンライン会議が増えたことから画面映えするメガネを選んだり、ブルーライトを抑えるメガネを選んだりと様々なニーズが出てきました。

 よく2代目が企業を衰退させると言われます。私の場合は自らの役回りを早いうちから自覚してきました。カリスマ創業者である父とお客様と向き合う現場の社員たち。その間にいる自分の役割と使命はパイプ役。創業者の想いを現場に伝えると共に、現場の意見を創業者に伝える。これは私にしかできないことだと思っています。

 特に大学卒業後、広告代理店を経て当社に入社し、業績の厳しい店舗を再建するチームのメンバーになったことは自分の糧になりました。社員とのコミュニケーションを深めることができましたし、何よりも現場の社員たちの情熱を感じることができたからです。

 メガネは視力矯正のサポートをするツールです。デジタル化で目を酷使する時代となりつつあるからこそ、より自分に合った快適なメガネが求められます。つまりは多様化するお客様に対応できる組織でなければ生き残れないということです。

 視力は五感の一つで人間は約8割の情報を目から取り込んでいます。この目をサポートするメガネで一人でも多くのお客様を笑顔にするため、自らを高めていくことに邁進します。


冨澤 昌宏
とみざわ・まさひろ
[メガネトップ社長]

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