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【ずいひつ】新見ソーラーカンパニー・佐久本秀行社長が語る「日本は資源輸出国になれる!」

財界オンライン / 2022年10月31日 18時0分

太陽光パネルで日本企業は中国や韓国企業に負けた─。よくこう揶揄されます。日本の再生可能エネルギーの主力である太陽光発電事業は2012年に固定価格買取制度が導入されて以降、加速度的に増加。同時に、太陽光パネルの価格面で日本勢が劣勢に立たされました。

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 しかし、この買取契約の満了に伴ってパネル廃棄量が国内だけでも約80万㌧にも上ると言われています。太陽光パネルはリサイクルを前提とした工程で製造されていないため、不法投棄や最終処分場の行き詰まり、有害物質が適切に処分されずに埋め立てられた場合の発火や土壌汚染などの問題が危惧されるのです。

 ただ、見方を変えれば、これは日本が資源輸出国並みの影響力を持てることを意味しています。もし廃棄太陽光パネルをリサイクルできれば、パネル抽出の金属や再生パネルの国内販売はもちろん、その輸出も可能になるからです。

 そんな中で当社は世界で初となる太陽光パネルの高純度リサイクル装置を開発しました。熱分解炉を活用して600度を超える水蒸気でパネルを15~20分程度加熱。すると、接着剤とプラスチック材のバックシートは気化し、水蒸気と共に回収しつつ、水と有機物に分離します。ガラス片、銅線、セル片は残り、二酸化炭素を排出することなく処理が完了するのです。

 このリサイクル率は約95%です。2021年9月に国内で特許を取得し、中国での実用新案登録も済ませました。現在は装置を製品化し、量産するための生産体制の構築や資金面での協力企業を探しているところです。

 そもそも私は工学博士ではありません。30年ほど前、高校生のときに観たテレビ番組で石油が今後40年で枯渇するという事実を知り、電力をつくる太陽光発電の存在を知ったのです。当時、太陽光発電と言えば電卓の小さいソーラーパネルくらいしかありませんでした。

 その後、大学に進学して放射線技術を勉強しました。レントゲンのX線が発生する原理などを学んでいくうちに、発電の仕組みにも興味を持ったのです。仕事の傍ら、東京・秋葉原で太陽光発電の部品を買い、自分で調べながら発電の実験をするようになっていきました。

「環境に良い電気を自分で設置したい」。太陽光発電に没頭した私は日本企業にソーラーパネルを売ってもらおうと直談判するも、片っ端から断られました。そして辿り着いたのが中国企業。DIY思考で組み立てた発電の実験を見てもらい、パネル生産をしてもらえることになりました。また、パワコンは日本ナンバーワンのオムロンさんから販売してもらえることになったのです。

 09年に当社を立ち上げ、太陽光パネル製造販売メーカーとして出発。ただ、その太陽光パネルが環境破壊に直結しかねないことを知り、「このまま売りっ放しではいけない」と考え、悪戦苦闘して開発したのが前出のリサイクル技術でした。

 無資源国・日本を巡っては経済安全保障の観点からも資源のリサイクル技術は欠かせません。世界でも類を見ない脱炭素型パネルリサイクルが確立できれば日本は変わるのではないでしょうか。ただ、当社のようなベンチャー企業では限界があります。

 そこで廃棄パネルの水平リサイクルによるエネルギーの自給自足を目指す「PVリボーン協会」を設立し、仲間を募っているところです。産業廃棄物処理業者はじめ、幅広い太陽光発電関係者とも連携し、全国に当社の取り組みを広げていきたいと思っています。

 

佐久本  秀行
さくもと・ひでゆき
[新見ソーラーカンパニー社長]

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