経済再生が最大課題の英スナク政権 財政難を抱える日本も〝他山の石〟に
財界オンライン / 2022年11月5日 11時30分
日本への教訓
英国ではトラス前首相が就任45日で退任を余儀なくされ、元財務相のリシ・スナク氏(42)が新首相に就任した。過去200年で最年少の首相であり、英国初のアジア系首相ということでも注目される。そのスナク政権の最大課題は経済再建である。
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スナク氏自身、首相就任の第一声として「私たちの国は今、深刻な経済危機に直面している」との認識を示している。トラス前首相の失敗の教訓とは何か?
財源が曖昧なまま、国民受けのする減税策を打ち出したこと。世界全体が経済減速に向かっている中で、政治家なら誰もが打ち出しそうな政策だったが、市場が反発。英国債は一気に売られて価格下落(金利は上昇)。年金制度にもマイナス影響を与え、国民の不安につながった。
国民受けを狙う政策がいつでも通るわけではないことを市場が示したことは、世界の政治リーダーへの大きな教訓になる。
そしてEU(欧州連合)との関係をどうするかという課題。ジョンソン前々首相以来、英国はEUと距離を置き、人の交流や物の移動に制限を課してきた。〝大英帝国〟の歴史に誇りを持ってきたわけだが、現実にはインフレを押し上げる要因になっているという面もある。自国一国では経済が成り立たない中で、他国や地域との経済連携をどう進めるかという課題である。
また、インド系のスナク新首相がアジアとの連携を含めて対中国との姿勢をどうとるのか。そしてEUとの関係をどう築いていくかに関心が集まる。
今回の英国での突然の首相交代は日本にとっても教訓となる。日本の最大課題の1つは財政再建。借金はGDP(国内総生産)の2倍以上となる約1200兆円。国債発行残高は約1000兆円を抱え、それを日本銀行が約500兆円を買い入れるという形で支えている。
「日本国債の95%は日本国民が買っており、問題はない」との指摘もあるが、中央銀行(日銀)が大半を買い入れるという中で、国債発行が膨れ上がってきているという現実。海外の投資家の中には日本の国債売りを仕掛けているところもあり、日本の国債管理も緊張感と慎重さが要求される。
日本の再生も緊張感が必要だ。
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