JFEが京浜地区の高炉跡地を 「次世代エネルギー」の拠点に
財界オンライン / 2022年11月7日 7時0分
交通アクセスや土地整備が課題
「近隣のエネルギー企業と連携して、水素・アンモニアを活用した水素サプライチェーンの構築を検討していく」と話すのは、JFEホールディングス専務執行役員の岩山眞士氏。
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JFEスチール(北野嘉久社長)は2020年3月に、東日本製鉄所京浜地区(神奈川県川崎市)の高炉休止を含む構造改革を発表。ここは同社の前身の1社である旧日本鋼管の主力製鉄所だったが、コスト競争力に課題を抱えていた。23年9月には高炉等の設備を休止する。
その後2年間、この土地の活用方法について検討を進めてきたが、「カーボンニュートラル」関連の事業利用についての検討を進めてきた。この方向性は地元・川崎市とも共有されている他、用地が隣接するENEOS、JERAとも、水素・アンモニアなどの脱炭素燃料の受け入れ・供給拠点整備に向けた協業の検討も始まっている。
この土地の潜在力はある。この京浜地区では高炉周辺の約222ヘクタールを始め、合計約406ヘクタールの開発が予定されている。「これだけの土地は、首都圏では今後出てこない」(JFEスチール京浜臨海土地活用検討班班長の松本剛氏)
首都高湾岸線が通過する立地で、未整備だが扇島にインターチェンジ整備の都市計画がある。また、東京湾内で屈指の水深を持ち、大型船舶の利用が可能。さらには周囲に発電所が多数あり、電力の安定供給が可能。
川崎市は、この土地をカーボンニュートラルを先導し、革新的技術を創造したり、未来型生活空間を創出するような、新たな拠点としたい構想を持つ。
だが、課題も多い。高炉周辺は「工業専用地域」で製鉄所しか運営できない用途規制となっており、「商業地域」などに変更する必要がある。また、高炉が立地する扇島には公道がなく、JFEの私道のみ。交通アクセスの整備が必須。
さらに、高炉周辺の設備撤去、地盤改良、基盤整備だけで数千億円のコストが見込まれる。そのため、川崎市だけでなく国をも巻き込んだ事業にすることが求められる。
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