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通貨・国債防衛へ 政府・日銀が市場と熾烈な攻防戦

財界オンライン / 2022年11月9日 11時30分

外国為替市場で政府・日銀と投機筋の攻防が熾烈化している。食品やエネルギーなど輸入品を中心に「悪い物価高」を助長する急激な円安進行に堪りかね、9月下旬に続き、10月21日と24日にも2営業日連続で大規模な円買い・ドル売り介入に踏み切った模様だ。 

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 21日の異例の日本時間深夜の介入は、円相場を一時、32年ぶりの円安水準となる1ドル=151円台後半から144円台半ばへの7円も押し上げた。 

 ただし、インフレ退治で利上げを加速させる米国と、先進国の中で唯一、緩和モードを維持する日本との間で金利差が広がっている限り、市場の円売り圧力は収まらない。 

 日米金利差拡大を材料に外為市場で円を売り浴びせる投機筋は、債券市場での国債売りも仕掛けている。急激な円安の弊害である「悪い物価上昇」への世論の反発に耐え切れなくなった日銀が「早晩、金融政策の見直しに追い込まれる」(米ヘッジファンド筋)と見ているためだ。 

 政府・日銀もそれは百も承知だが、景気に加え財政にも配慮しなければならない日銀は金融政策を容易には動かせない。専門家は、1000兆円超の国債発行残高を抱えた状況で、金利が1%上昇すれば、数年後には国債の利払い費が10兆円近くも増加すると分析しており、一気に財政危機に陥りかねない危うい状況と言える。 

 政府・日銀に苦境を脱する戦略はあるか。財務省幹部は、米連邦準備理事会が年末以降、利上げペースを落とし、来春までには一連の金融引き締め策を完了すると予測。黒田東彦総裁の交代時期に当たるが、ここが勝負どころ。新総裁の下、慎重な政策修正が必要になる。 

 ただ、足元では22年第2次補正予算に盛り込む経済対策を巡って、自民党内から財政拡張を求める声が高まる。だが英国では財源の手当てをしないまま大型減税を強行しようとしたトラス政権が、発足からわずか40日余りで退陣に追い込まれた。 

 肝心の政治の危機感が乏しい中、政府・日銀は大規模介入をした後のシナリオを描けるのか。日本の財政・金融政策は正念場に差し掛かっている。

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