クレディ・スイスがリストラ、事業の買い手にみずほFGも浮上
財界オンライン / 2022年11月4日 18時0分
金融大手、クレディ・スイス(CS)が経営危機を回避するため、大規模な事業売却を迫られている。米英での投融資案件で巨額損失を相次いで発生させたのが主因。一時は市場で破綻懸念も取り沙汰された。
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経営陣は米国を中心に手掛けてきた証券化事業や投資銀行事業を売却・スピンアウト(独立)して資金調達する計画を描く。市場では「国際的な金融グループの事実上の解体が世界的な金融再編の引き金になる」との見方も出ている。
CSの証券化事業の買い手候補には、みずほフィナンシャルグループも浮上、日本勢がCSの〝リストラセール〟にどう絡んでいくかも注目される。
みずほFG社長の木原正裕氏はかねて、一段の成長が見込まれる米国市場で、投資銀行や証券化商品ビジネスを強化する考えを持っていた。15年には英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)から米企業向け貸出債権を買収し、米国の顧客基盤を拡大し、RBSのバンカーが加わって陣容が強化されたという「成功体験」もある。
CSの証券化事業が手に入れば、米大手証券、モルガン・スタンレーとの業務資本提携をテコに海外事業で先行する三菱UFJFGを追撃する有力な武器となる可能性がある。
M&A(合併・買収)アドバイザリーなどを手掛けるCSの投資銀行事業も売却対象となっている。3メガバンクや野村ホールディングスなど日本勢にも非公式の打診があったようだ。ただし、こちらは投資銀行部門ごとスピンアウト(独立)させて前身の米老舗証券「ファースト・ボストン」の名称を復活する案も検討されている。
CSをはじめ欧州の大手金融グループはリーマン危機で大きな打撃を受けた。だが、その後の世界的な超低金利環境に救われ「抜本的な経営改革を先送りしてきたところも少なくない」(証券アナリスト)。
CSは、欧米の中央銀行が今春以降、金融引き締めに転換したことをきっかけに「隠れていた経営問題が噴出した」(国際金融筋)との見方も出ており、今後は他にも経営危機が表面化する欧州金融グループが出てきてもおかしくない。
CSの危機が国際的な再編の呼び水となるか。市場関係者は注視している。
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