【財務省】円安進行は止まらず、目立つ政府・日銀の「不作為」
財界オンライン / 2022年11月3日 11時30分
円安の加速で鈴木俊一財務相の手腕が改めて問われている。9月に政府・日銀は円買い・ドル売りの為替介入を実施したが、円安の進行は止まらず、1ドル=150円割れは確実視されている。鈴木氏は「過度な変動がある場合は断固たる措置を取る考えにいささかも変わりはない」と繰り返すだけで、政府・日銀の「無作為」(閣僚経験者)が目立つ結果になっている。
10月20日の参院予算委員会でも鈴木氏は、外国為替市場の円安ドル高について「急速で一方的な円安の進行は望ましくない。過度な変動には今後も適切な対応を取る」と市場をけん制。とはいえ、政府対応に関する判断の大半は「頻繁に連絡を取り合っている」(鈴木氏)という神田真人財務官任せなのが実態だ。
円安要因はさまざまだが、市場関係者によると、英フィナンシャルタイムズ紙に今月、日銀の大規模な金融緩和策を支持する岸田文雄首相のインタビューが掲載されたことも影響しているそうだ。海外金融市場に精通する政府関係者は「言葉に慎重なのは当然だが、首相と財務相はそろって(市場に対する)感度が低い」と酷評する。
政府は物価高対策を月末にとりまとめるが、日本のインフレ率は欧米に比べれば低い水準。
膨張する政府債務を踏まえた歳出改革も考えれば、大型の財政支出で世論の支持を取り付けようとするのではなく、急激な円安に伴う価格高騰は一定程度受け入れざるを得ないことを丁寧に説明し、理解を得る努力が不可欠だろう。「当面は国政選挙がない今こそ、バラマキを食い止める好機」(財務省幹部)のはずだ。
だが、為替や経済対策を担う鈴木氏は「疲れが取れないのか、事務方が作成した応答要領を読むのが精いっぱい」(同省職員)で、財政当局の責任者としての手腕は見えてこない。
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