【金融庁】仮想通貨のマネロン防止策強化へ新ルール
財界オンライン / 2022年11月4日 18時15分
金融庁は来春にも暗号資産(仮想通貨)を使ったマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の供与を防ぐための新たな送金ルールを導入する方針だ。
交換業者間で仮想通貨を移転する際、顧客情報を互いに通知することを義務付けるのが柱。「不正な資金の移動を追跡しやすくする」(総務企画局幹部)のが狙いだ。政府は10月中旬、そのための犯罪収益移転防止法など関連6法の改正案を閣議決定しており、今臨時国会で成立を目指す。
ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する西側諸国の金融制裁の「抜け穴」になっているとも指摘される仮想通貨への取り締まり強化は世界的な課題となっており、日米欧の金融当局などで構成する国際組織「金融活動作業部会(FATF)」は早急に措置を講じるように各国に求めている。
また、国連安全保障理事会で制裁決議を課せられている北朝鮮とイランへの核開発資金を断つため、両国の核開発関係者の日本国内での金融・不動産取引を規制する措置も講じる。マネロンに関わる犯罪の厳罰化に向けては、組織犯罪処罰法などを改正し、法定刑を引き上げる。
金融機関のマネロン対策を巡って、日本は昨夏のFATFの審査で「メガバンク以外は取り組みが不十分」と厳しい評価を受け、「落第」に当たる「重点フォローアップ国」に指定された。金融庁としては仮想通貨の送金ルールの厳格化を急ぐことで「マネロン対策後進国」の汚名返上につなげたい考えだ。
金融庁では、今年6月、総合政策局の羽渕貴秀・国際政策監理官がFATFの基準改定などを担当する部会の初代共同議長に任命された。職員がFATFの議長に就くのは初めて。地銀やゆうちょ銀行などリアル金融機関のマネロン対策ではFATFの審査で数々の不備が指摘された金融庁が、仮想通貨対策を先導することで名誉を挽回できるかが注目される。
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