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【経済産業省】英TPP加入、年内合意もトラス首相辞任で先行き不透明

財界オンライン / 2022年11月5日 15時0分

日本やオーストラリアなど環太平洋経済連携協定(TPP)参加国は、閣僚級会合の「TPP委員会」をシンガポールで開き、英国の加入について年内にも基本合意を目指す方針を確認した。日本から出席した山際大志郎経済再生担当相は会合後に記者会見し、英国の早期参加の機運について「非常に高まっている」と強調。「リソースを英国の加入作業にしっかり集中させていく」とも語った。 

 会合で採択した共同声明では、英国との交渉を通じて「TPPのハイスタンダードが維持されることを決意する」と表明。その上で、「加入作業のさらなる進展を期待する」と明記した。 

 TPPは農産品や工業品の関税減免に加え、知的財産権保護など厳格なルールを定めている。新たな国・地域の加入には、参加国による全会一致での承認が必要だ。 

 TPP参加国は英国の加入に前向きな一方、日本の経済官庁幹部は、昨年加入申請した中国を念頭に「初めての新規加入事例のため慎重に進める」と指摘する。中国は自国のルールを広げることにより、インド太平洋地域での影響力をさらに強め、米国に対抗する狙いがある。 

 今後始まることが見込まれるTPP加入交渉をめぐり、中国が自国に都合の良い例外規定を導入するよう東南アジアなどに外交攻勢を仕掛けるとの懸念が日本や豪州など西側陣営でくすぶっている。共同声明は、協定を守るための行動を取っている国・地域の加入を支持するとし、中国をけん制した。 

 一方、英国は昨年2月に加入申請したが、いまだに具体的な結論が得られていない。背景には、英国が示した関税撤廃率が90%程度にとどまり、TPPが目指す約100%に到達していないことが挙げられる。 

 日豪などは英国に再考を要求しているが、TPP推進派の英トラス政権が物価高対策でつまずき、首相が辞任に追い込まれた中で、年内に加入交渉が前進するかどうかは不透明になりつつある。

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