【農林水産省】円安を背景に好調続く 食品輸出の目標前倒しへ
財界オンライン / 2022年11月16日 15時0分
農林水産物・食品の輸出が好調だ。2022年1~8月までの輸出総額は前年同期比14・6%増の8826億円と、過去最高額の昨年を上回るペースで伸長。急速に進む円安や欧米を中心とした外食需要の回復が寄与している。政府は25年2兆円とする輸出目標の前倒し達成を見据え、円安の恩恵を生かし、輸出拡大への取り組みを加速させる考えだ。
年始に1ドル=115円台で始まった対ドルの円相場は、8月末時点で138円台半ばまで下落した。大幅な円安を背景に、日本産の現地価格が割安になり、価格競争力が向上。円ベースでの売上高も押し上げる格好となり、二重の効果が出ている。輸出額の伸び率がこのペースで続けば、9月にも1兆円を突破する見込みという。
政府は、10月に施行した改正輸出促進法に基づき、新たに制度化した品目ごとの輸出促進団体の認定を実施。10品目以上とした年度内の認定目標を年内までに前倒しすることで、販路開拓や規格の統一など、日本産としての取り組みを加速させる。まずは、製材や菓子を含む15品目での認定が期待される。
円安を追い風に輸出が拡大する一方で、輸出向けの産品不足が懸念される。国内向け産品をそのまま輸出はできず、海外市場で求められる量や価格、規格などに適応した輸出用の生産を継続的にできる産地育成が重要。海外の需要把握も徹底し、効果的に輸出できるようにすることが必要だ。
政府は30年に5兆円目標を掲げるが、先行きは楽観視できない。達成には現状の伸び率を継続する必要があるが、「10数%の伸びを長く続けるのは難しい」(関係者)という。現に、物価高による物流コスト上昇が重荷になっているほか、円安が落ち着けば影響ははく落する。
欧州経済の鈍化懸念も出る中、改正輸出促進法で足固めした支援体制を有効に機能させ、輸出拡大につなげる必要がある。
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