【財務省】経済対策は国費4兆円増 土壇場で自民の要求丸のみ
財界オンライン / 2022年11月16日 11時30分
政府が10月28日に閣議決定した物価高騰対策を柱とする総合経済対策は、たった一夜で国費が約4兆円積みあがる形で決着し、財源の裏付けとして2023年度第2次補正予算案に29兆1千億円を計上、今国会での成立を目指す運びとなった。「30兆円台が発射台」などと息巻く自民幹部の威勢を前に、土壇場で4兆円増を丸のみする形となった鈴木俊一財務相のメンツは丸潰れだろう。
鈴木氏は会見で「足元の物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応し、日本経済の再生を図るために必要な施策を盛り込み、十分な規模を確保した」と胸を張った。自民党の萩生田光一政調会長が、党内議論の最中に、財務相が官邸と経済対策を協議したことに苦言を呈したことに対しては「与党の議論を無視して財務省の考えを押し通すとかは毛頭考えていない」と語った。
国費の規模を巡っては、早い段階で官邸筋と財務省で調整し、最終的に25兆円規模で固める意向は与党幹部にも事前に知らされていた。
新型コロナウイルス禍が落ち着き、今後の経済指標で景気は上向くとの分析を念頭に、岸田文雄首相は「新型コロナの感染拡大以後続いてきた大判振る舞いは終わりにする」(同省幹部)との方針を決め、鈴木氏に具体的な政策を詰めさせていた。歳出改革を進め、予算編成の「正常化」(主計局)を目指していた財務省ははしごをはずされた恰好だ。
財務省を悪者にして政治家が手打ちするのは政治の世界では常套手段だが、放漫財政のツケは将来にわたって全国民に回る。財政規律を担うにもかかわらず経済対策に主導力を発揮できないでいる財務相の責任は重い。
ニッセイ基礎研究所・矢嶋康次氏の提言「今年は何か違う税制改正にしないと」
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