【外務省】ウクライナ危機で幻となった森健良事務次官の交代観測
財界オンライン / 2022年11月17日 11時30分
ロシアによるウクライナ侵攻が収束の気配を見せない中、対露政策に精通する外務省幹部の行く末がにわかに注目を集め始めている。最大の焦点が森健良事務次官の進退だ。森氏は政務担当の外務審議官時代にロシアとの平和条約締結交渉の陣頭指揮にあたったことで知られ、昨年6月に事務次官に昇格。今年2月にウクライナ侵攻が始まった後は、厳しい対露制裁の枠組み作りなどに携わってきた。
現在の岸田文雄政権では、各省とも事務次官は2年程度務めるのが通例となっているが、官邸関係者によると、今年夏の同省幹部人事では、一時森氏の交代論が浮上したという。
岸田首相は外相を5年弱務めた経験を持ち、今もスケジュールが少しでも空けば、各国首脳と電話会談などを入れたがる。一方、森氏は「まずは官邸でなく、外務省が外交のレールを敷く」といわんばかりに、林芳正外相による外相会談を優先する傾向があるという。
モスクワでは、外務省の「ロシアスクール」の代表格で、プーチン大統領とも個人的な関係を持つ、上月豊久駐日大使の在任期間が7年超と長期化している。官邸ではこの構図を利用し、上月氏を帰国させ、代わりに森氏を次期駐露大使として転出させる案もあがったという。
最終的にこの人事構想は、ウクライナ侵攻の長期化と複雑化などを加味し、実現には至らなかった。ただ、官邸関係者は「森氏が来年6月、次官2年目を迎える前にいつでも発動する可能性がある」と明かす。
自民党の茂木敏充幹事長は、外相時代に腹心として仕えた山田重夫外務審議官を次期次官候補として首相に猛プッシュしている経緯もあり、森氏の包囲網は狭まりつつある。
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