初の商社出身会頭、日本商工会議所・小林体制が始動
財界オンライン / 2022年11月18日 7時0分
日本再生・変革に挑む
日本商工会議所の会頭に、三菱商事の社長や会長を歴任し、今は相談役を務める小林健氏(73)が11月17日に就任。3期9年間会頭を務めた三村明夫氏に代わり、初の総合商社出身の会頭として舵取り役を担う。エネルギー・食料価格の高騰、歴史的な円安、コロナ禍による過剰債務、長引く低成長など日本経済、とりわけ中小企業を取り巻く環境は極めて厳しく、早速手腕が試される。
日商会頭に先立ち、11月1日付で東京商工会議所の会頭に就任した小林氏は、「『日本再生・変革に挑む』をスローガンとして掲げ、『変革の連鎖』によって日本再生を成し遂げる」と所信を表明した。
国内外の情勢は前任の三村氏が就任した2013年当時と比べて格段に難しい。ロシアによるウクライナ侵攻で加速した世界的なインフレはエネルギーから幅広い原材料、食料に広がり、9月の国内企業物価指数は前年同月比9・7%上昇し、過去最高となった。「ウィズ・コロナ」の下での経済活動の再開に伴い、人手不足問題も再燃している。
これらエネルギーや仕入れ価格、人件費のコストアップに対し、小林氏は報道各社の就任インタビューで、「(中小企業の)収益確保のため、最も迅速で効果が高い方法は(取引適正化による)価格転嫁だ」と強調。三村氏が意を砕いた大企業と中小企業の共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」をてこに、サプライチェーン全体での適切なコスト分担の実現を急ぐ考えを示した。
一方、サプライチェーン内外での価格交渉力の確保や、バブル崩壊後の日本の中小企業の宿痾ともいえる低生産性の解消に向けては、円安メリットを活用した海外展開の加速を含む規模・系列・業種・地域を超えたオープンイノベーションがこれまで以上に必要となる。
単なる数合わせではなく、中小企業が持つ付加価値を最大化させるための大胆な再編も求められそうだ。「変革の連鎖」によって、停滞していた日本経済の構造改革を再起動させられるかが商社出身会頭に託される。
三村明夫・日本商工会議所会頭の訴え「円安は今の日本にとって好ましくない」
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