『東証グロース上場』 ”人流データ”をどう読み解くか? unerry社長・内山英俊を直撃!
財界オンライン / 2022年11月24日 7時0分
リアルな世界をデータ化する
─ まずはunerryがどんな会社かを伺っていきます。
内山 当社は『心地よい未来を、データとつくる。』をミッションに、人流データによるビッグデータプラットフォームの運営などを手掛ける会社です。
例えば、コロナ禍で毎日のようにテレビで人流データをご覧になった方も多いと思います。新宿や渋谷の人通りが前の週に比べて何割増えたとか、減ったとか、われわれはそうした人の行動を集めてビッグデータ化し、AI(人工知能)を使って解析します。その人流データを分析・可視化することによって、小売業のマーケティングや都市づくりにデータを生かしてもらおうという会社です。
─ コロナ禍で注目されるようになったわけですね。
内山 はい。新型コロナは間違いなく当社のジャンプポイントになりました。2020年の年明けから新型コロナが騒がれ始めて、2月から5月くらいにかけては、数多くのテレビ局が当社の人流データを放送しました。「人流データ」という言葉が定着してきたのは、新型コロナが契機だったと思いますね。
─ この「人流」という概念は海外ではあったんですか。
内山 アメリカでは先にありました。人流というよりは、ロケーションデータ、位置情報ですね。ただ、その用途の多くは位置情報を活用した広告にとどまっていました。ですが、われわれは人流データを社会の真正面に持っていくと。それが当社の存在価値ではないかと思います。
わたしはリアルな世界をデータ化する。実社会をデータ化するということは、すごく重要なことだと考えています。なぜなら、これほどEコマース(電子商取引)が普及していても、インターネットのECサイトでモノを買うのは8%だけです。ご飯を食べるのは全てリアルですし、日本人の購買行動の92%は実社会で行われています。
─ なるほど。まだネットの活用はそれくらいのものなんですね。
内山 ええ。であるにもかかわらず、リアルの世界は効率性の悪いことだらけです。例えば、お店に入ったら混雑していて待たされるとか、入れないということが普通にあるわけです。
しかし、インターネットの世界ではそんなことは起こりえない。混んでいるなら、家にいる間に教えてくれよと。こういう非効率なことが多いのが今のリアル世界なので、われわれはここに着目し、リアルな社会をデータ化しようと考えたのです。
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観光地の渋滞緩和や地域の脱炭素化に活用
─ では今後、この人流データを使って、unerryはどのように成長していく考えですか。
内山 やはり、一つは小売業や外食の出店計画やマーケティングに活用していただく。小売業や外食の方々は今まで5年に一度しか行われない国勢調査をもとに計画を立てていたんですが、われわれと組むことによってリアルタイムの人の流れがわかるようになります。
もう一つは街づくりです。街をつくるにあたって、街の回遊性を高めるにはどうしたらいいかとか、防災のために都市部の混雑を緩和するにはどうしたらいいかなど、データを街づくりに活用してもらうんです。そうなると、産業規模が1ケタ、2ケタは変わってきます。
これはすでに三菱商事さんと資本業務提携していまして、日本国内だけでなく、海外でのスマートシティづくりなど、国内外で人流データをどんどん活用していこうという提携を結ばせてもらっています。
─ これは大都市が中心ですか。地方都市でも活用できるんですか。
内山 両方できますね。地方でも観光地の渋滞を緩和するにはどうしたらいいのか、また、最近は脱炭素化の整備が急務ですので、ここに電気バスを走らせたら自家用車の数が減って、CO2(二酸化炭素)の排出量が減らせるのではないかとか、街づくりそのものの基礎データとして活用できると思います。
すでに環境省さんと一緒に富山市や鎌倉市(神奈川県)で移動データの見える化と移動手段の解析を行い、地域の脱炭素化を図るための施策提言のとりまとめをご支援しました。また、宮崎銀行さんと一緒に地域企業のクーポンや情報を適切なタイミングで配信したりして、地域経済の活性化につながるような実証実験をしたりしています。
その意味では、人流データの活用範囲が今後ますます広がっていくことは間違いありません。われわれも日本のみならず、世界の街づくりに貢献したいと考えています。
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