大手商社が軒並み上方修正 好決算の裏に漂う緊張感
財界オンライン / 2022年11月24日 11時30分
資源高騰や円安を背景に、総合商社の決算は最高益更新の見通しが相次ぐ。しかし、各社首脳はこうした要因に左右されない「実力値が大事」と、気を引き締めている─―。
大手商社の2023年3月期の業績見通しについて、上方修正が相次いでいる。純利益ベースで首位の三菱商事が従来の8500億円から1兆300億円(前年同期比9・9%増)へ上方修正し、実現すれば商社初の1兆円越え。市況の追い風を捉えた金属資源・天然ガス事業に加え、自動車や電力、素材などの事業で増益を見込んでいる。
また、2位の三井物産も従来の8000億円から9800億円(同7・1%増)に上方修正。LNG(液化天然ガス)トレーディングやモビリティ事業が好調。為替により、合計1080億円の増益要因になるという。
常務CFO(最高財務責任者)の重田哲也氏は「LNG、化学品、穀物などのトレーディング事業において、世界中の各地で高度な機能を発揮し、堅調な収益力を維持している」と語る。
伊藤忠商事も7000億円から8000億円に上方修正。金属、機械、住生活などの事業が増益となる見通しで、副社長CFOの鉢村剛氏は「資源に頼らないバランスのよい強靭なポートフォリオは健在」と語る。
ただ、問題はこうした傾向がいつまで続くかということ。ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、世界的な地政学リスクの高まりや、各国でインフレ抑制に向けた金融政策の影響で今後は消費意欲の減退が懸念されているからだ。
こうした状況下、「足元の天然ガスを除いて主な商品価格は上半期に比べ低下すると見ている」(重田氏)と語り、各社とも慎重な姿勢を崩さない。
一方、鉢村氏が「仕込めるところは仕込んでいくタイミング」と語るように、先行き不透明感や不確実性が高まる中で、アフターコロナに向けてどんな手を打っていくのか。好決算の裏で緊張感のある日が続く。
初の商社出身会頭、日本商工会議所・小林体制が始動
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