“日の丸半導体”復活へ 官民・日米連携で新会社設立
財界オンライン / 2022年12月6日 18時0分
次世代品の実用化目指してトヨタやNTTなどが出資
トヨタ自動車やNTTなどが出資し、次世代半導体の国産化を目指す新会社「Rapidus(ラピダス)」が設立された。経済産業省も補助金で支援する。軍事品などにも搭載される半導体は、米中対立などを背景に経済安全保障の観点から重要性が高まっており、国内での製造基盤強化は喫緊の課題だった。米国とも連携し、次世代半導体の量産化を目指す。
次世代半導体は、自動運転や人工知能(AI)などの分野で必要不可欠とされ、回路線幅が細いほど性能が高い。現在の先端品は、3㌨(㌨は10億分の1)㍍。日本は1980年代に半導体で世界を席巻したものの、技術開発競争に敗れ、製造できるのは40㌨品にとどまる。
挽回に向け、ラピダスが目指すのが、現時点で実用化されていない2㌨品の次世代半導体。先端微細化回路の基礎研究で成果を上げる米IBMらと連携し、2027年の量産化を目指す。
政府も次世代半導体の基礎研究を手掛ける研究開発拠点を年内にも設立。今後立ち上がる米国の研究開発拠点やIBMなどと連携する方針だ。経産省のある幹部は、「これまでは日本だけでやって失敗してきた。米国と協力してやることが大事」と強調し、官民だけでなく、米国と共同で巻き返しを狙う。
日本が半導体の再興に向けてかじを切ったのは、半導体が経済安全保障上重要性を増しているためだ。ある与党議員は、「軍事技術のうち、コアな部分を担うのが半導体」と打ち明ける。
ただ、先端品とされる10㌨以下の半導体は、約9割が台湾で製造される。米中対立が激化する中、ひとたび台湾に有事が起きれば調達が滞る可能性が高い。そのため、政府は半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)の工場誘致に多額の補助金を支給するなどし、国内での製造基盤強化を進めている。
ただ、国内大手8社によるラピダスへの出資額はわずか73億円。経産省の補助金支出も700億円に留まっており、継続的に投資が必要な半導体にとっては、「微々たる金額」(関係者)。日本の半導体産業が再び輝きを取り戻すためには、資金力や人材の確保がカギを握りそうだ。
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