EVの走行課税を巡って政府と【自工会】がサヤ当て
財界オンライン / 2022年12月16日 18時0分
政府が税制優遇を通じて、普及に力を入れている電気自動車(EV)。EVをどう普及させるかという課題を抱えながらも、細部の課税の在り方を巡って、政府と日本自動車工業会とで意見の不一致が起こっている。
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「税金を減らすことだけを要望しているわけではない。各省庁が財源の綱引き合戦に終わらず、集めた税金をどう活用するか議論して欲しい」─。自工会会長の豊田章男氏(トヨタ自動車社長)はこう提言する。
事の発端は財務省で開かれた政府税制調査会。現在の自動車関連税収では道路整備などの支出を賄えないと考えた同省が「EVがある程度普及した後の段階での税制の在り方を議論したい」と呼びかけてEV課税の見直しについての議論が始まった。
その中で自工会が「電動車の普及にブレーキをかけてしまう」(副会長の永塚誠一氏)と反対するのがEVの走行距離に応じた課税だ。「EVは車体が重いので道路への負担が大きい」ことが課税根拠。ただ、通勤・通学でクルマの利用が多い地方や長距離を移動する物流業者の負担は大きくなる。さらには「当面は今の形が望ましい」(三菱自動車社長の加藤隆雄氏)としてEVがもう一段普及してから新たな税制を議論すべきだという声もある。
車体課税の税収は07年度に3・4兆円あったが、22年度は2・7兆円と約2割減。一方、道路をはじめとした公共インンフラの老朽化は進む。何よりもEVが世界で電動化の主軸になりつつある一方で、日本の自動車メーカーがその潮流の先頭を走っているわけでもない。
岸田文雄政権になってから、自動車業界と官邸との関係は良好だ。岸田氏がトヨタの工場を視察したり、経団連が新設した「モビリティ委員会」では会員企業を増やしつつ、岸田氏をはじめ、大臣とも会合を持つようになった。日本はEVの位置づけをどう図るのか─。
EV走行課税を巡っては今回の税制改正では具体案に踏み込むことはないようだが、EVの国際競争力をどう付けていくか、官民の対話を実のあるものにしてもらいたいものだ。
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