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MS&ADが6300人削減 市場縮小、自然災害増加が重荷

財界オンライン / 2022年12月15日 7時0分

原典之・MS&ADインシュアランスグループホールディングス社長

混沌とする世界経済の波が、日本の保険業界に及んでいる。

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 国内メガ損保グループの一角、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(原典之社長)は、25年度末までに、国内の生損保事業の社員を6300人削減することを表明した。定年による自然減で6割減らす他、新卒採用を抑制、早期退職を実施する。

 同社を始めとする3メガ損保は、それぞれ23年3月期の連結純利益見通しを下方修正している。その要因となっているのが、世界的に増加する自然災害。

 日本では22年9月の台風15号、10月の台風19号による被害があった他、22年9月から10月に米国に上陸した大型ハリケーン「イアン」の被害を受けた保険金の支払いも多かった。

 また、継続的な課題としては、日本の人口減少がある。自動車保険などの国内事業が緩やかな減少を続けており、市場が縮小している。

 MS&ADは、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険という2社の損保会社を持つ。三井住友海上は海外、あいおいニッセイ同和は国内と強みを持つフィールドで棲み分けていた他、国内では大口顧客の取り扱い維持などもあり、競合する分野があっても併存させ、業績を上げてきた。

 システムなどの重複部分は「機能別再編」と呼ぶ合理化を実施してきた。両社のトップは「合併の選択肢は排除しない」と説明してきたが、今回の人員削減で、もう一歩踏み込んだ合理化を進める必要に迫られる。

 今後は、例えばこれまで多くが人手で行われてきた保険金の審査や支払いにAI(人工知能)を活用するなどして、人手を介さずに完結する仕組みなどの充実が求められる。

 今回のMS&ADの人員削減は、多くの営業社員を擁する生損保が従来の延長線上では生き残れない厳しい時代を迎えたことを示している。

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