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【株価はどう動く?】2023年は日米の株価の「デカップリング」で、日本の株価は底上げへ

財界オンライン / 2022年12月16日 11時30分

米中間選挙は株価にプラスでもマイナスでもなく
 2022年11月の米中間選挙は、米国及び世界の政治経済、マーケットの転機になる可能性があると指摘してきました。

【株価はどう動く?】日本の個人マネーは新興株へ、「日本版ニフティ・フィフティ相場」到来か?

 投票前の日米のメディアは共和党優勢を伝えていましたが、やはり選挙はフタを開けてみなければわかりません。選挙結果はいわば「引き分け」のような形になりました。

 大企業、ウォール街に親和性の高い共和党が勝てば、株価にもプラスで、新しい上昇相場が始まると見ていましたが、「赤い波」は起きなかったのです。

 ですから、選挙後の株価は一進一退が続いています。大きく下げていない代わりに大きく上げてもいない状況です。

 ニューヨークダウでいえば、2022年1月の天井が、ほぼ3万7000ドル近辺でしたが、この半値戻しが3万3000ドル近辺ですから、この水準を超えた辺り、いわば攻防の分岐点で揉み合っています。

 ですから米中間選挙は、株価にとってはプラスでもマイナスでもなかったということになります。その後もしばらく高値波乱が続いてきましたが、11月下旬から12月にかけて、徐々に落ち着いてきました。

 それは「前門の虎」、つまりインフレ退治のための金融引き締め、利上げをマーケットはかなり織り込んだか、織り込みつつあるからです。早ければ22年内、遅くとも23年の第1四半期頃までに米国の金利はピークアウトし、引き締めが緩やかになるのではないかという期待が、マーケットに生まれつつあります。

 しかし、米国株の超長期波動でいえば、1982年を底に40年間の上昇があって、天井を付けました。その間、米国の金利は15%台から0・5%まで下がりました。18年10月に金利が底入れして、米金利は40年ぶりに上昇トレンドに転じたのです。

 米国の株価と金利は逆相関の関係にあります。ですから、すでに米金利が底入れした時に、米国株は天井を付けたということです。なので当分、21年1月の高値は抜けないだろうというのが私の大局観です。

 ただ、世界の情勢を見ると、ウクライナ戦争を始め、「新冷戦構造」の中で、世界のマネーが「安全だ」として預けられるのはドルしかありません。かつては、国際情勢不安が起きると、スイスフランや日本の円に流れていましたが、今や両国とも経済に脆弱性を抱えています。

 ニューヨークダウの22年後半の安値は10月13日の2万8660ドルがありますが、当分ここが下値となるでしょう。

 22年1月5日に天井を付けた後の「売りの急所」といわれる戻り高値は4月21日の3万5492ドルでしたから、短期的には2万8000ドルと3万6000ドルくらいの間で揉み合うものと予想しています。

 また、米国の金利とインフレが高止まりしている間は高値圏での波乱の展開が続くだろうと見ています。その間、インフレ率が下がったという情報が出れば、ニューヨークダウは500ドル、1000ドル上昇し、FRBの要人たちから金融引き締めが続くというメッセージが出れば500ドル、1000ドル下げるという「波高き相場」が続くことになります。

 おそらく、FRB(米連邦準備制度理事会)が目指しているインフレ率2%までには下がらないではないかと見ています。そこまでの過程で、リセッション(景気後退)を招くからです。

 ピーク時には10%台に近いインフレ率まで高まるとして、FRBがどこで妥協するか。4%台、5%台で妥協できるかどうかが問われます。ですから当分、米国のインフレ率は高止まりを続けます。

 その間、日本の株はどうかというと、今のところ米国株に連動しています。今後の一番のポイントは、足元でカップリングしている日米の株価が、どこかでデカップリング(非連動)するのではないかということです。

 米国株が下落しても、日本株はあまり下落しない、あるいは米国株が低迷している間に日本株が上昇するという局面が、23年にはあり得ます。この日米の株価がデカップリングするかが、23年の株価を見る上で大きなポイントになります。

 22年第4四半期頃までは、次の新しい展開までの「踊り場」ということになります。米国は今の階段、その1、2段下のところでウロウロし、日本はそこから1段、2段上がっていくという可能性があります。

 なぜなら、米国の金利、インフレが高止まりしますから、円安が続きます。もし、1ドル=140円台が続くようであれば、日本企業はさらに活気づくでしょう。23年の大企業の3月期決算は相当いい数字を出すところが多いのではないかと見ます。

 これを織り込んで、決算が出揃う5月中旬頃までには、21年9月の3万795円という高値を抜き、23年の年末から24年にかけて、日経平均は1989年12月の3万8915円に挑戦するというのが、私の楽観シナリオです。

 円安によって日本はデフレを脱却し、企業業績が回復することで「景気の4番バッター」と呼ばれる設備投資が出てきます。設備投資が出れば雇用が増え、賃金が上昇するという好循環につながっていきます。

 こうなってくると、前述のように金融引き締め、インフレが続く米国の株価と日本の株価がデカップリングしてくることになります。そして円安で製造業が復活することで、日本の株全体の底上げになります。

 日本の株が89年12月の高値を超えて4万円を目指すためにはDX革命、デジタル社会の推進が大きなポイントになります。この時代を担う新しいリーダーは製造業ではなく情報通信、DX関連企業、「無形資産」で伸びる企業の中から出てくる必要があります。

 日本ではまだ、これらの企業は小粒なのが現状ですが、この成長を引っ張るのが、デジタル・ネイティブである25歳以下の「Z世代」です。

 足元で岸田政権の支持率が低迷していますが、株価にかなり織り込まれている。今後、さらに政権が行き詰まって解散総選挙ということになれば、その時には株価が上がるでしょう。


スガシタパートナーズ社長
菅下清廣
投資家、投資戦略家(ストラテジスト)。学校法人立命館顧問。近畿大学世界経済研究所客員教授。政財界の幅広いネットワークで新興企業、ベンチャー企業の支援や金融顧問を務める。また、経営者や個人投資家向けのセミナー、フォーラム、勉強会などを主宰。菅下清廣の音声配信サービス「スガシタボイス」の次回の募集案内は無料ブログ「スガシタレポートオンライン」http://www.sugashita.jp/から告知します。『最速で最大の結果を出す!投資家が選ぶ「成長株」50銘柄』(KADOKAWA)、『株は波動が9割』(実務教育出版)、最新刊『史上最強の資産インフレ相場で大化けする日本株を買え!』(徳間書店)が好評発売中!

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