【コロナ禍の外食店舗が直面した“端末地獄”】フードテックキャピタル・鈴木大徳代表取締役CEOの『人生の転機』
財界オンライン / 2022年12月20日 18時0分
日本の食は日本の財産。世界に誇れるものだ─。2008年に財務のスペシャリスト集団を束ねる会社を立ち上げていた最中、日本の外食企業ともお付き合いが始まりました。
これほど食材のバラエティが豊かでサービスの品質が高く、どのような価格帯でも美味しい料理が味わえる。そんな国はありません。また、働いている人の努力や魅力は言葉で言い表せられないほど素晴らしい。こんなことを肌で実感しました。外食企業を成長させることが日本の食文化を広げ、日本の産業を盛り上げる一助になると感じました。
しかし一方で、コロナ禍によって外食企業のこれまで隠れていた弱点が炙り出されました。デジタルトランスフォーメーション(DX)化の後れにより、諸外国と比較しても日本の外食企業の収益性の悪さや業務の非効率さが目立っていました。
「これでは円滑な店舗運営ができない」─。コロナ禍で多くの飲食店がお店を開けない時期が続いた際、多くの店舗がデリバリーに参入しました。既存のPOSシステムや注文管理システムに加え、フードデリバリーのシステムなど多種多様なシステムが利用されていたのですが、それらのデータが統合・連携できていなかったのです。
例えば、複数のデリバリーを導入している店舗ではサービスごとに別々のタブレット端末が備えられ、サービスの種類が増えるごとにタブレットが増えるという環境に陥っていたのです。その様相はさながら〝端末地獄〟でした。その光景を目の当たりにした私は財務のDXからフードテックへと舵を切りました。
そこで21年10月に当社が開発した飲食店向けSaaS事業「デリコ」はデリバリーにかかわる注文・売り上げなどを統合管理できるものです。煩わしい注文管理の業務から従業員を解放し、料理や接客といった本業に集中できる環境を作りました。
冒頭で語ったように、外食の魅力を実感したからこそ、この産業を残すための力になりたいと考えました。合理化や価値創造の手助けをすることで、アフターコロナでは日本の食の海外輸出でもお手伝いができればと思っています。
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