【著者に聞く】『日本の生き残る道 企業統治が我が国を救う』 牛島 信・弁護士
財界オンライン / 2022年12月24日 11時30分
〝失われた30年〟と言われて久しい。われわれ日本人は、失われた30年について処方箋を書いたつもりでいたかもしれないが、誰も治療できなかった。
そういうことを考えると、今試してみる価値のある唯一の方法は、政治に頼ることではない。
私なりに感じるのは、コーポレートガバナンス(企業統治)をもっと徹底すること。PBR(株価純資産倍率)1倍未満を何年も続けている会社は、その会社のトップを大胆に交代させることである。
具体的には、独立社外取締役を中心とした指名委員会がリードし、できれば50代以上の人は社長にしない。それくらい抜本的な改革が必要だ。
現在、上場企業の4~5割はPBRが1倍未満の会社である。この方法で10社のうち、2つでも、3つでも上手くいけば、それで万々歳ではないか。それくらいの勢いでないと、日本は甦ることができない。
実績を上げることのできないトップはさっさと去るべきだ。こうしたトップを突き上げるのに最適なのは、スチュワードシップを標榜している機関投資家である。上場会社である限り、機関投資家を満足させられないトップではいけない。
私はトップが外国人でも、男性でも、女性でも、誰でもいいと思う。しかし、社長が自分の子飼いを据えるのは駄目である。少なくとも、何年もPBRが1倍未満の会社でそれを許してはいけないと思う。
私は機関投資家と良質なアクティビストの幸福な同棲が大事だと考えてきた。これがなぜいいかというと、綺麗ごとではないからであり、人の欲がうまく組み合わさっているからである。
アクティビストが機関投資家を納得させられるような理屈を考え出し、機関投資家が検討し、その結果、両者の幸福な同棲が起こる。この方法でいけば、一波が万波を呼んで、日本の株式会社は変わる。そうならなければ? 日本は〝失われた40年〟になる。
【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅
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