『ローソン』が古着リサイクルや食品ロス削減に取り組む理由
財界オンライン / 2022年12月22日 15時0分
ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)が企業経営に求められるようになった中で、ローソン(竹増貞信社長)が、リサイクルや食品ロスの削減に向けた実証実験を行っている。
一つは、古着リサイクルの実証実験。東京・北大塚にある新業態店舗『グリーンローソン』で不要となった洋服を回収する。出版取次の日本出版販売が雑誌などの返本を回収する際に、一緒に洋服を回収する仕組み。ただし、靴下や下着などは対象外。回収した洋服は状態や素材、色ごとに分類され、良質なものは中古衣料として海外へ出荷。リユースが難しいものは、軍手や雑巾の原材料としてリサイクルされる。
環境省の調査によると、日本国内において古着の回収はあまり進んでおらず、34%程度しか再活用されていない。このため、同社では「この取り組みを通じて、”着なくなったら捨てる”から”再活用”の考え方を広め、持続可能な社会の実現に貢献したい」としている。
もう一つは、消費期限内ではあるものの通常は店頭から撤去する”販売期限切れ”商品を値引き販売する実証実験。都内の別の店舗で、販売期限切れのデザート10品目が対象。値段はだいたい半額程度となる。
農林水産省の調べによると、日本では食べられるのに廃棄される食品は年間約600万㌧。ローソンでは、食品ロス削減を重要な社会課題ととらえ、AI(人工知能)を活用した発注の適正化や値引き販売を推進することで、2025年に18年対比で25%、30年に同50%削減を目指している。現在は約9割の店舗で販売期限内の商品値引きを行っているが、販売期限切れ商品の値引き販売に踏み切るのは初めてだ。
洋服のリサイクルでは、ユニクロがお古になったダウンジャケットを回収し、ダウンとフェザーをリサイクルすることで生産過程におけるCO2(二酸化炭素)排出量を約20%削減しているし、消費者の中でも「すぐに食べるのであれば消費期限切れが近くてもかまわない」という声も多い。
コンビニエンスストアという身近な拠点を活用することで、今後はリサイクルや食品ロスの削減に向けた消費者の意識が一層喚起されそうだ。
2023年を乗り切るキーワードは? 『ファーストリテイリング』会長兼社長 柳井 正
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