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【経済産業省】「カーボンプライシング」の本格導入は2030年代に先送り

財界オンライン / 2022年12月23日 15時0分

政府は、金銭的な負担を求めて削減を促す「カーボンプライシング(炭素への価格付け、CP)」の本格導入を2030年代に先送りする。CP導入は欧州を中心に世界的に広がりを見せるが、日本は企業の負担増回避を優先。脱炭素化への取り組みの動機付けが弱まり、温室効果ガスを30年度に13年度比46%削減する国際公約の達成が危うくなる恐れがある。

 11月29日に開いた「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で制度の大枠が示され、了承された。政府は「GX経済移行債(仮称)」発行で約20兆円を確保し、脱炭素化投資を支援する計画。償還財源はCP導入で捻出する方針で、CO2排出量に応じた企業への賦課金と、企業間の排出量取引を組み合わせることを想定。ただ、岸田文雄首相は「エネルギーに掛かる公的負担の総額を中長期的に増やさないようにする」とも表明している。

 代表的なエネルギーへの公的負担は、石油石炭税(年6千億円)と電気料金に上乗せされている「再生可能エネルギー賦課金」(同2兆7千億円)がある。脱炭素化が進めば石油石炭税の負担は減る。再エネの固定価格買い取りに使われている再エネ賦課金も32年以降、買い取り期間が順次終了すため、負担は軽くなっていく。

 これらの軽減分と見合う形で、30年代から企業への賦課金と、排出量取引で電力会社に排出枠を有償で買い取らせる仕組みを導入する方向だ。

 炭素税は英仏などが導入済み。排出量取引も欧州連合(EU)は05年に開始し、電力会社への排出枠購入の義務付けも実施している。しかし、日本では、炭素税導入に経団連が「現時点では合理的とは言えない」と反対。経済産業省内にも「エネルギー価格が高騰する中、新たな負担を求めづらい」(幹部)との声が出ていた。

 CP本格導入の先送りについて「現在の電源構成では、企業に強制的に負担を求めるCPを早期に導入しないと、30年度の温室効果ガス46%削減の達成は難しくなる」(エコノミスト)との指摘が出ている。

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