三井不動産社長に植田俊氏が昇格、先行き不透明の不動産市場をどう生き抜く?
財界オンライン / 2022年12月26日 10時0分
不良債権処理などに奔走した経験も
「我々は、街づくりという手段を通し、産業競争力を強くするプラットフォーマーだと考えている」と話すのは、三井不動産次期社長の植田俊氏。
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2022年12月9日、三井不動産は社長交代を発表した。23年4月1日付で、社長には取締役専務執行役員の植田氏が昇格、社長の菰田正信氏は代表権のある会長、会長の岩沙弘道氏は取締役となった後、23年6月の株主総会後に相談役となる。
植田氏は1961年2月京都府生まれ。83年一橋大学経済学部卒業後、三井不動産入社。09年以降は主力のビルディング事業に携わってきたが、「会社生活40年の中で本社にいたのは09年からの十数年だけ」と植田氏。
92年に出向した三井不動産ファイナンスではバブル崩壊後の「不良債権処理」に奔走。99年に出向した三井不動産投資顧問では、金融危機の中で機能を失った不動産市場を再生するために岩沙氏が取り組んだ「不動産証券化」に実務面で携わった。
菰田氏は、植田氏が88年から所属した横浜支店時代から、その能力に注目してきたという。ビルディング事業部時代には「敢えて高いハードルを課したが、彼は超えてきた」と話し、「グループの新時代を切り開いてくれる」と期待を寄せる。
好きな言葉は「妄想、構想、実現」。その意味は「その妄想に大義があれば、人が集まって構想になり、やがて実現される」というもの。
それを象徴するのが、16年に三井不動産が主導して設立した「一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン」(LINK―J)。
創業の地・日本橋を「ライフサイエンスの聖地に」という植田氏の意気込みに対し、菰田氏は「正直、〝風呂敷〟を広げ過ぎではないか」と思ったというが結果、大学、研究機関、スタートアップなど、会員企業約600社という「世界に冠たるコミュニティになった」(菰田氏)
ただ、先行きは決して楽観できない。米国は金利上昇でオフィス、住宅ともに難しい状況。この影響は日本にも及んでくる。植田氏のカジ取りが注目される。
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