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─国産初のコロナ治療薬登場に思う─ 経営者の『決断』と『覚悟』が問われる2023年

財界オンライン / 2022年12月28日 15時0分

国産コロナ薬がなぜ生まれないのか─。このコロナ禍の中で、ずっと日本国民が思っていた疑問である。塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス感染症の飲み薬『ゾコーバ』が政府によって緊急承認されたことに関係者も安堵している。

国産初のコロナ飲み薬が誕生 塩野義製薬「ゾコーバ」を緊急承認

 この国産飲み薬は2022年5月に創設された緊急承認制度に基づいて適用を受けた。当面、200万人分を政府が購入することにしている。新型コロナの「第8波」が流行しそうなときだけに、国産治療薬の登場は日本全体を元気づける。

 このコロナ危機3年の間に日本国民が射ってきたのは米ファイザーや米モデルナの海外製品。海外勢が続々と治療薬やワクチンを開発してきた。

「ぜひ国産の治療薬・ワクチンを」という国民の期待に対し、数ある製薬メーカーがある中で塩野義製薬が開発したことの意義は大きい。感染症のパンデミック(世界的大流行)はこれからも押し寄せる。そういうときに国産の新薬・ワクチンで対応できないとなると、安全保障の観点からも大変な問題を残す。

 この危機に対応したのが塩野義製薬1社というのは実に淋しい限りである。

 この窮状に立ち向かったのは手代木功会長兼社長CEOの「何とかしたい」という創薬メーカーとしての「使命」であり、何と言っても「覚悟」である。この1年間で投じた研究開発費は約1000億円。年間売上高約3300億円と比べても、大変な決断であり覚悟である。

 危機から逃げないという経営トップとしての想い。そしてその決意を受けての同社研究開発陣や生産現場を支える社員の結束である。

 コロナ危機は「人」を鍛える。2023年は世界的に景気も下降気味の中で原材料高騰という試練が続く。こうした試練の中で今回のゾコーバの登場だ。

 経営者の「決断と覚悟」が問われる年である。

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