【株価はどう動く?】米国の金融引き締めは継続か?日本は円安の恩恵を受ける銘柄に注目
財界オンライン / 2022年12月23日 20時0分
利上げペースの今後は?
米国経済の過熱の中でインフレが加速し、FRB(米連邦準備制度理事会)は連続して0・75%の利上げを続けてきました。ただ、インフレ率も利上げもピークに近づいたのではないかという見方が、ウォール街で有力になりつつありました。
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それを受けて一時、ニューヨーク株も上昇しましたが、直近の米国の経済指標から、「インフレは全く油断できない」、「消費は過熱気味だ」との見方が広がり、2022年末から23年にかけて、再び厳しい金融引き締めが行われるのでは?という流れになりつつあります。利上げのペースダウンへの市場の期待は打ち破られつつあります。
ですから12月初旬には、ニューヨークダウ、ナスダックとも大幅な下げを記録しました。この動きを波動から見ると、頭打ちになるべきポイントで頭打ちになっていると言えます。
ニューヨークダウは夏場に「サマーラリー」(夏場にかけ株価上昇が続くこと)のような状況がありました。8月16日に3万4281ドルまで戻りましたが、それ以前の安値は6月17日の2万9653ドルでした。この時も、「金利のピークアウト近し」という見方が台頭し、サマーラリー的現象が起きたのです。
8月16日の高値が戻り売りの急所となり、ニューヨークダウは再び急落、6月17日の安値を下回って、10月13日に2万8660ドルという安値を付け、ここが当面の安値となっています。
秋にかけ、再び金融引き締めの減速が近いのでは?という見方が生まれ、「オータムラリー」とも言うべき状況になりました。10月13日から12月1日まで上昇し、3万4595ドルという高値になりましたが、先程の8月16日の戻り高値が3万4281ドルでしたから、ほぼ同値に近い水準となりました。
その後、再びニューヨークダウは下落をしています。要因は利上げ継続に加えて、米国の景気後退がありそうだということを織り込んでの下落です。
FRBは「前門の虎」であるインフレを退治し、「後門の狼」である景気後退に備えなければいけませんが、虎退治が終わらないうちに狼が出てきた形になっています。この状況が続けば、ニューヨークダウはさらなる下落の可能性が出てきます。
この後の下落幅でニューヨークダウの強さがわかりますが、10月13日の2万8660ドルから、12月1日の3万4595ドルまで戻り、上げ幅は5935ドルでした。
株価が下落に向かうと、下げ幅で強さがわかります。3分の1押し、3万2600ドル近辺くらいの下げならば日柄調整は短く、再び出直ることが予想されます。ニューヨークダウが3万3000ドル割れくらいで下げ止まるかどうか?
止まらない場合は半値押しの3万1600ドルという水準です。なので、3万3000ドル割れは「青信号」から「黄色信号」に移ったことを意味します。3万2000ドルを割れると「赤信号」となる可能性があります。こうなると本格的に「ベアマーケット」(弱気相場、下げ相場)に入っていくことになります。赤信号の場合には、「トリプルボトム」、「逆三尊」を形成する可能性があります。
一方、日経平均の動きは12月上旬現在、ニューヨークダウに連動しているものの、下げ幅は小さい状況です。今後、米国株が大幅に下げても、日本株は下げ渋る展開が予想されます。
米国は景気がよすぎるために、利上げで悪くしようとしているのに対し、日本は未だデフレ気味の経済が続き、金利も0%台ですから、景気をよくするための政策が打たれるはずです。
なおかつ、日本株は安値が切り上がってきています。直近の安値が12月8日の2万7415円ですが、22年の一番の安値が3月9日の安値が2万4681円、その後は10月3日の2万5621円となっており、次の上昇チャンスを狙っています。
22年末から23年にかけて、日本株が上昇する時には、為替が再び円安の方向に向かい、デフレ脱却、製造業を中心に企業業績が回復することを織り込む相場展開があり得ます。
もう1つ、米国の利上げが目先ピークアウトしない、むしろ再度上昇してくる可能性があると、日米金利差が拡大し、再び円安に向かう形になります。ただ、政府による景気対策はあるものの、増税論も浮上してくるなど、3万円台を回復するような買い材料がない状況です。
この状況下では個別物色相場が続きます。1000兆円という日本の個人の現預金の一部が株式市場に入りつつあり、直近のIPO銘柄はセカンダリーマーケットで株価が上昇するケースが出ています。日本株の押し上げ要因の1つです。
他にも、円安の恩恵を受ける海運や鉄鋼、商社、半導体関連企業といった銘柄の株価上昇が期待されます。ウクライナ戦争などで半導体の需給は逼迫し、戦争の長期化に伴って、鉄鋼の需要は増大します。「鉄は力なり」は今後のキーワードです。
円安の恩恵を受け、ウクライナ戦争など地政学リスクで需給が逼迫する製品を取り扱う企業の株は今後有望です。もう1つ、コロナとの戦いは今後も続きますから、バイオ、ライフサイエンス株も狙い目です。
以上3つのセクターを中心に独自の事業モデルで23年に活躍しそうな企業群を「2023年のニフティ・フィフティ有望銘柄」とネーミングしています。
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