【貯蓄から投資へ】野村ホールディングス・永井浩二会長「NISAの口座数が急増、盛り上がり始めた若者の投資」
財界オンライン / 2023年1月27日 11時30分
─ 野村ホールディングス会長の永井浩二さん、23年の金融・証券市場と世界経済をどのように予測しますか。
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永井 前提条件がどう変わるかによって、だいぶ変わってくると思います。1つ目はロシアのウクライナ侵攻の状況によってエネルギー価格や穀物価格に対する影響が変わってきます。2つ目は中国が国境をいつ開くかです。そこが気になります。
さらに不確定要因として、08年の金融危機以降、世界中で景気をサポートするための金融緩和が実施されましたが、この巻き戻しが既に始まっています。23年はマーケットの不確実性や大きな変動に注意する必要があります。
─ 米国でも金利の行方が気になるところですね。
永井 米国は目先の景気を犠牲にしても、インフレだけは絶対に抑制するという強いスタンスです。ですからFRB(米連邦準備制度理事会)は継続的に金利を上げてきているのです。おそらく4%からまだ上げるでしょうし、この流れが続くと思います。それくらいインフレはそう簡単には収まらないと。
─ その中で、日本では「貯蓄から投資へ」というテーマに取り組んでいますね。
永井 私が証券マンになって42年が経ち、初めて「貯蓄から投資へ」の流れができつつあると感じています。まさに今、20代や30代が自分の老後が心配で年金には頼れないといった考えから積立型の長期累積投資を始めており、NISA(少額投資非課税制度)の口座数が合計で1700万を超えました。
─ 若者のニーズを汲んでいかないといけませんね。
永井 ええ。そこで当社は積立NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)はもちろん、例えば積立NISA対象の投資信託で販売会社、運用会社、信託銀行の3つの会社に支払う手数料がゼロとなる「野村スリーゼロ先進国株式投信」等を展開しています。
今後、積立NISAの制度がどうなるかによりますが、20年経てば年間40万円×20年で800万円となり、若い世代の積立が増えていきます。当社にとっては、それがどういう果実を生むかが重要になります。ですから、こうした取り組みは10年、20年後に向けた先行投資なのです。
─ 証券業のデジタル化に対して、どう手を打ちますか。
永井 当社は主に対面で幅広くサービスを提供してきました。当社の多くのお客様はマンツーマン、フェイス・トゥ・フェイスのコンサルティングを求めています。一方で求めていないお客様もいらっしゃるでしょう。当社もデジタルコンテンツの専門部署を作り、資産管理アプリ「OneStock」や投資情報アプリ「FINTOS!」を提供するなどの手を打っています。おそらくニーズは分かれていくのではないでしょうか。
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