JAL・植木義晴会長が語る2023年 京セラ・稲盛和夫氏から教わったものとは?
財界オンライン / 2023年1月19日 7時0分
─ 航空業界も明るさが出て来ました。日本航空会長の植木義晴さん、コロナ禍で社員をどう鼓舞してきましたか。
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植木 20年4月からの2年間で営業損失は計約6400億円。リーマン・ショックなど及びも付かない、想像もできなかった状況になりました。
しかし私は社員に対し大きなお金も借りたけど、それができるだけの信頼を経営破綻以降、12年間かけて君たちのお陰で培ってこれた。これを誇りに思うべきだと。
もう1つはコロナは経営破綻とは全く違う。経営破綻はJALに責任があった。今回は必ず回復する。それを信じてどう行動していくか。これが問われていると。
最初のメッセージでも1人の社員とて解雇するつもりはない。皆で一緒に取り組んでいこうと発信し動き出しました。
─ その間、需要はどんな推移を見せてきたのですか。
植木 国内線は感染者の具合とほぼ同じように推移し、19年対比で乗客数は約3割、上がって8割です。ここから9割、10割だと思った途端に3割まで落ちる。ジェットコースターのような折れ線グラフが2年間続きました。一方で国際線は低位安定。2年間、20%を超えた月はなく厳しい状況でした。
─ 潮目は変わりましたね。
植木 ええ。22年4月から徐々に上がり始め、11月で国内線は約9割まで回復しています。「全国旅行支援」の影響を大きく受けて好調です。国際線は11月の水際対策の緩和で旅客数は約50%になりました。
その中でも引き続き貨物は非常に好調です。特に国際貨物の需要は19年対比で2割増程度ですが、単価は2倍以上です。コロナ前と比較して貨物の収入が3倍近くになりました。
─ 一方で燃料費のコストアップが懸念材料です。
植木 そうですね。特に為替と燃油費を掛け合わせると天文学的な数字になってきています。それに対しては、ヘッジをコンスタントにやってきましたので、今年度に関してはそれほど影響はありません。ただ、来年度以降もこの影響が続くと考えています。
お客さまに一番申し訳ないのが燃油サーチャージです。一時は運賃と変わらない料金をいただいていたので、円安も含めて日本人のお客さまには厳しい状況だと認識しています。
─ 亡くなった京セラ創業者の稲盛和夫さんの教えとは。
植木 稲盛さんにとっては最後の実践がJALの再建でした。その中で「JALフィロソフィ」と部門別採算制度の2つの文化をしっかりと根付かせていただいた。私個人としては社員が3万人以上いる会社において、経営者として社員をどう守り抜くかという智恵と勇気と覚悟を背中で見せていただいたと感じています。
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