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松竹・迫本淳一社長が語る2023年 「歌舞伎の動画配信の可能性も高まる!!

財界オンライン / 2023年1月20日 11時30分

迫本淳一 松竹社長

─ コロナ禍で安らぎをお客さんに与えている映画、興行界ですが、松竹社長の迫本淳一さんから見た22年の映画産業の振り返りと23年の予測とは。 

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 迫本 22年の映画興行市場は前年比約150%で推移しており、おそらく一時割り込んだ2000億円台に戻ると見ています。当社で言えば『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM ”Record of Memories”』という嵐のコンサート実写映画やアニメの『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』『映画 ゆるキャン△』『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEスターリッシュツアーズ』がヒットしました。22年は回復傾向で、アニメが中心です。 

 23年に向けて『ある男』『月の満ち欠け』『かがみの孤城』が年内公開、23年は『シャイロックの子供たち』などが期待され、実写でも強い映画を次々と出していく予定です。当社は配信で世界に向けて発信できるアニメがないので、そこを開拓していきたいと思っています。 

 ─ 演劇では團十郎襲名が始まりましたね。 

 迫本 ええ。「十三代目市川團十郎白猿襲名披露興行」では息子の新之助も立派な舞台をやってくれました。お陰様で感染による休演もなく順調に来ていますので、成田屋の〝にらみ〟で病気を飛ばしてくれているようです(笑)。 

 ─ 歌舞伎の配信は行っているのですか。 

 迫本 はい。「歌舞伎オンデマンド」というサービスで始めています。当初は配信に抵抗がある意見もありましたが、コロナを機に実現できました。22年11月からは海外配信も始め、当初は米国、フランス、スペインなど9カ国へ板東玉三郎の『鷺娘』、そして『菅原伝授手習鑑』などを配信しました。海外のマーケットは必ず増えてくると。外国人の方からの反応も上々でした。字幕付で配信できますから可能性は広がりましたね。 

 ─ BS放送の展開も始めましたね。この狙いとは。 

 迫本 22年3月に「BS松竹東急」(260ch)を開局し、映画やドラマ、歌舞伎など、エンターテインメントを無料で観れて録画もできます。電子番組表で「NHK―BS1」の左側から3つ目です。特に地上波で放送される映画が少なくなっているため、年配の方々などを中心に喜ばれています。しかも無料チャンネルですからね(笑)。 

 ─ 期待が持てますね。本社のある東銀座界隈の再開発にかける思いとは。 

 迫本 苦しいコロナ禍でも生き残ってこれたのは不動産の安定収益があったからです。ですから、ここはきちんとやっていかなければいけません。再開発エリアには「東劇ビル」「歌舞伎座」、そして「新橋演舞場」等があります。この3カ所をつなぎ、築地から木挽町あたりを日本文化の発信基地としていきたい。 

 特に落語や大相撲、浮世絵、歌舞伎など江戸文化に着目しています。権力者ではなく民衆から生まれた世界でも稀有な江戸文化には、たくさんの人を巻き込むポテンシャルがあると思うので、広く世界に発信していきたいですね。

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