経済同友会・櫻田謙悟代表幹事の提言「日本再生に向けて 『生活者共創社会』づくりを」
財界オンライン / 2023年1月31日 7時0分
─ 経済同友会代表幹事の櫻田謙悟さん、日本は「失われた30年」という低迷から、いかに再生するかが問われていますが、その中で同友会は「生活者共創社会」という概念を打ち出しましたね。この狙いは?
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櫻田 「失われた」のではなく、この停滞は私たちの不作為によって「失った30年」だと考えています。
近年、格差や自国第一主義、「お金が全て」というカルチャーなど、グローバル資本主義の弊害が顕在化しています。海外の知人と議論し、新渡戸稲造の『武士道』を読み返す中で、自分なりに考えをまとめ、2021年に『BUSHIDO CAPITALISM』(邦題:武士道に学ぶこれからの資本主義のかたち)を海外に向けて出版しました。グローバル資本主義はこのままでいいのかを考える際、日本古来の考え方がヒントになると考えました。
また、ウクライナ戦争で安全保障、経済安全保障が経営と切り離せない状況になる今、日本の持つ力を世界に発信したいと。そこにピタリと来たのが「生活者」という考え方だったのです。
─ この「生活者」という概念は海外でもあるんですか。
櫻田 適切に表す言葉が英語にはないため、そのままローマ字で表しました。生活者は、消費者であり、働き手であり、家族の一員であり、コミュニティの担い手であるという、多面的な役割を持ち、日本で暮らす全ての「個人」を包含しています。
さらに、企業や自治体、学校など、個人が構成する全ての組織を含む「マルチステークホルダー」です。この生活者の主体的な選択と行動によって、一人ひとりの多様なハピネスにつながる新しい価値を生み出すことが必要です。この考え方は、岸田政権の「新しい資本主義」にも通じると考えています。
─ 日本は成長戦略が幾度も打ち出されながら、実現できていないという現実があります。
櫻田 毎年のように成長戦略を打ち出しながら、なぜダメだったのか。それは日本社会に「変わらなくても何とかなる」という考えがあったからでしょう。
今も、これからの日本をどうしていくかの議論は足りていません。大きく言えば「新しい成長」には多様性が生み出すイノベーションが必要ですし、バラマキではなく、価値創造を支える「新しい分配」も必要です。
─ その中では民間企業、経営者の役割は重いですね。
櫻田 日本人の持つ精神構造、過去から培ってきた技術力、ソフトパワーを合わせれば、世界に冠たるクオリティ国家になることができます。
そして私は「真の経営者の時代」が来たと考えています。イノベーションを生み、価値を創るのは経営者の仕事です。
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