【2023新春インタビュー】小林健・日本商工会議所会頭を直撃!
財界オンライン / 2023年1月3日 11時30分
日本再生の最後のチャンス!
─ 資源・エネルギー価格の高騰や円安など、日本企業の経営環境が大きく揺さぶられています。日本商工会議所新会頭の小林健さん、日本再生にかける思いを聞かせてもらえますか。
小林 私は今が日本再生にかける最後のチャンスだと考えています。バブル崩壊後、30年にわたり日本は物価、賃金、生産性が停滞し、新型コロナウイルス感染症によって更に停滞期間が長引いたわけです。われわれは謙虚に振り返って、どこに原因があったのかを突き止めながら、まだ日本に余力はあると思いますので、日本再生に向けた最後のチャンスを活かしていくべきだと考えています。
われわれは経済人ですから、経済を回して、国力をつけ、もう一度日本を豊かな国にしていく。そして、次の世代に引き継いでいくという使命があると思います。私も50年にわたって産業界にお世話になってきましたから、そのご恩返しという意味で、最後のひと働きを日本再生に尽くしたいという思いです。
─ 日本再生には、日本企業の99%を占める中小企業の生産性向上が不可欠です。この中小企業の底上げをどのように図っていきますか。
小林 日本企業は約360万社あり、99・7%を中小・零細企業が占めています。中小企業白書によると、日本全体の従業者数は約4700万人、その7割にあたる約3200万人は中小・零細企業で働いているわけです。その家族を含めると、日本の人口の半数以上は中小・零細企業を頼りにして生活をしているわけですから、中小・零細企業を活性化していくことが日本再生につながると考えます。
そのためには遅れているDX(デジタルトランスフォーメーション)で生産性向上を図りつつ、取引の適正化を図ることが大事です。
例えば、足元では円安と物価上昇が続いているわけですが、ここで大企業がコスト上昇分を下請け・孫請け企業に押し付けるのではなく、サプライチェーン(供給網)全体で負担や収益をシェアしていく仕組みをつくっていかなければなりません。
大企業にとっても下請け・孫請けがいなくなっては成り立たないわけですから、そこは共存共栄の思想でやっていくべきだと思います。
─ 取引価格の適正化ということですね。
小林 もう1つは、デフレマインドを払拭し、大企業も中小・零細企業も勇気をもって値上げに踏み切らなければならない。適正利潤を生めない産業は長続きしません。価格の適正化も必要なことだと思います。
幸い、私が関わってきた商社の仕事というのは、日本のあらゆる業界との接点があるわけです。こうした自らの経験を踏まえながら、中小・零細企業の皆さんと共に日本再生へ貢献していきたいと考えています。
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