日本取引所グループ・清田瞭CEOの提言「市場再編を実施、日本企業は稼ぐ力を高めるべき」
財界オンライン / 2023年1月30日 18時0分
─ 日本取引所グループ・グループCEOの清田瞭さん、経済への現状認識を聞かせてください。
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清田 欧米では水準はともあれ、引き続きインフレへの警戒感を持って引き締めでの金融政策を続けていくだろうと。一方、日本は異例の低インフレで、デフレは脱却したけれども、円安が続き輸入インフレのリスクは高まっているにもかかわらず、消費者物価指数は3%台の上昇です。まだ日本の経済全体が強い成長力を見せているわけでもないという状況です。
ただ、ウィズ・コロナで世界が落ち着いてきたので一定程度の水準で経済活動の規制も緩和されてくる。すると、経済活動が活発化し、インバウンドも入って来る。為替の極端な円安に伴うリスクもありますが、これも収まってくる。おそらく23年の日本は比較的居心地の良い経済状況になるのではないかと見ています。
─ その中で22年4月に「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」という3市場再編を行いましたね。
清田 プライムに東証一部から移行する企業を問答無用で切ることはせず、経過措置を導入し、約2170社あった東証一部が約1830社となり、プライムに適合していない項目のある企業が約300社あります。その300社にプライム適合の努力をしていただき、半年で約30社が適合してきています。
プライム上場企業だけではなく、スタンダード・グロースの企業といえども、企業価値の向上なくして上場企業としてのステータスを維持できないという仕組みに変わったわけです。ですから経営者のマインドセットが変わったと言えます。
─ そこから成長を促進していくということですね。
清田 はい。市場構造の改革の目的は日本の上場企業の経営者にガバナンスも含めてマインドを切り替えてもらい、持続的な成長と企業価値の向上を常に意識して経営していただくと。そのためには株主との建設的な対話を通じ、社会が求めるESGにも配慮した経営をやって下さいとお願いしているわけです。
上場時価総額が1兆円を超える企業でもグローバルでは巨大企業ではありません。また、企業の解散価値を示すPBRが1倍割れの上場会社が4割もいる。ですから、企業には株価の上昇を意識した経営をしていただきたい。そのためには、日本の企業は稼ぐ力を高めていかなければなりません。
日本の代表企業の平均ROEが7~8%なのに対し、欧米は13~15%あります。しかし、日本企業の力だけを見れば、海外の大企業と戦える企業力はあります。企業力があるにもかかわらず、それを実現できていないのです。ここを大きくしていただきたいと期待しています。
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