【新春インタビュー】みずほFG・佐藤康博特別顧問の視点「金融は大きな転換点に来ている」
財界オンライン / 2023年1月24日 18時0分
─ みずほフィナンシャルグループ特別顧問の佐藤康博さん、欧米の金融引き締めなどもあって混沌とした経済状況ですが、23年の経済環境をどう見通していますか。
【あわせて読みたい】【システム障害からの出直し】みずほFG社長・木原正裕は「企業風土改革」ができるか?
佐藤 われわれのリサーチでは、23年の世界の経済成長率は1.8%、米国はマイナス0.8%、EUはマイナス0.8%とかなりスローダウンする見通しです。金利を相当上げていますから、これが景気にブレーキをかける。
一方、日本はプラス1.0%の見通しです。金利を上げていないこと、そして円安が結局のところ経済の底上げにつながっていること、そしてコロナ禍が多少落ち着いていることが要因となっています。
中国については、「ゼロコロナ政策」を解除することが前提ですが、プラス4.8%となる見通しです。ただ、ゼロコロナ政策は継続していますし、不動産や地方政府の債務問題などは全く解決されていませんから、今の予想よりも大幅に下振れることになると、一番影響を受けるのは日本です。
FRBが金利の引き上げをスローダウンさせることになれば、インフレをある程度コントロールできると見たというサインですから、世界経済に徐々に安心感が出てきて、先程の見通しよりよくなる可能性はあります。
─ 今後、日本の民間企業の力の発揮が求められます。
佐藤 世界をリードする技術を持つ企業はたくさんありますから、労働者を成長産業に移転させることができれば、全体としての底上げができます。
国のシステムとして産業、企業を行き来できるような形にする必要があり、そこで大事になるのが「リカレント」です。
─ 学び直しですね。金融はプラットフォーマーの参入等で変化にさらされていますね。
佐藤 金融は大きな転換点に来ています。個人向けではスマホ決済などを手掛けるプラットフォーマーの勢いを止めることは難しい。その中でわれわれはソフトバンク、LINEというプラットフォーマーと組んでサービスを提供しています。
デジタル・テクノロジーを活用した非対面サービスの拡充とともに、ご来店されたお客様に対しては、丁寧なコンサルティングを行うという形に店舗の在り方を変えています。
気候変動やデジタル、経済安全保障などの分野で急激かつ複雑な変化にさらされる中、企業の皆様は今後の経営そのもののご相談にいらっしゃいます。
バランスシートを見て資金を貸す時代は終わり、企業の悩み、課題を一緒に考え、そのリスクを一緒に取っていくのが金融の新しい方向性です。その中ではわれわれの強みがより発揮できます。これによって日本経済の発展にも貢献できると考えています。
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