【2023新春インタビュー】北村俊昭・INPEX会長を直撃!
財界オンライン / 2023年1月10日 11時30分
世界的エネルギー危機は長期化の見通し
─ INPEX会長の北村俊昭さん、ウクライナ戦争などを受けてエネルギー価格の高騰が続いていますが、23年の情勢は?
北村 21年には世界全体で全てのエネルギーが逼迫し、価格が高騰するというエネルギー危機が始まっていました。それに加えて、22年のロシアによるウクライナ侵攻で、世界的なエネルギー危機がさらに深刻化し、長期化する恐れがあります。
石油上流は今、上流の開発投資、先進国の在庫、生産余力という3つが「記録的な低水準」になっており、何かが起きるとすぐに価格が変動する構造になっています。この傾向がウクライナ侵攻によるロシアへの制裁でさらに強くなっており、原油価格は高値で推移する可能性が高いです。
─ 天然ガスの動向は?
北村 LNG(液化天然ガス)は装置産業なので常にフル生産することが前提となっていますが、実際には設備トラブルなどもあり難しい。
そして今、ロシアの欧州へのガス供給はほぼ止まっており、欧州各国は世界中からLNGを高値で買い集めています。そのため、以前は比較的リーズナブルな価格で買えていたアジアのバイヤーが市場で買えなくなっています。その結果、アジアの様々な国で停電が起き、社会不安を招くだけでなく、場合によっては政権が揺らぐ事態になっています。
LNGの生産能力の増大にはガス田の発見・開発から10年を超える期間が必要です。世界のLNG生産能力は既に決定のもの以外は、少なくとも今後5年程度は増やすことができないことから、厳しい状況が続くということです。
─ 世界経済への影響が非常に大きいですね。
北村 高いLNGを買っている欧州では、産業競争力が落ち、経済を悪化させる恐れがあります。さらに、アジアでは石炭への回帰が始まっています。
欧州を中心に、上流投資を削減し、再生可能エネルギーへの投資拡大で脱炭素を進めようという動きでしたが、世界的なエネルギー安全保障を見据えた現実的な政策を取る必要が出てきているのではないかと思います。
─ 脱炭素には今、どのように取り組んでいますか。
北村 われわれの使命は、多様なエネルギーをクリーンな形で供給することですから、LNG等の上流投資を続けながら安定供給で需要に応えます。
同時に50年のネットゼロを宣言していますので、30年に向けて、水素やCCS(二酸化炭素回収・貯留)、地熱発電や洋上風力発電等のネットゼロ5分野に約1兆円の投資を行い、エネルギー企業としての責任を果たしていきます。
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