【2023新春インタビュー】内田高史・東京ガス社長を直撃!
財界オンライン / 2023年1月11日 11時30分
移行期に徹底した低炭素化を進めていく
─ 東京ガス社長の内田高史さん、ロシアによるウクライナ侵攻により、日本はロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」から、LNG(液化天然ガス)を安定調達できるのか不安視されています。
内田 そうですね。ウクライナに侵攻したロシアからLNGを調達するのか? という声があることは十分承知していますが、日本のエネルギーの安定供給を考えたら、今、サハリンのLNGを手放すわけにはいきません。これは日本政府の方針にも沿っており、とにかく何とかLNGの安定調達に努めていく思いです。
現在、当社は5つの国の15のプロジェクトからLNGを調達しています。これまでも調達先の多様化を進めてきましたが、あらゆる事態を想定し、さらにLNG調達先の多様化を進めていきます。今後は、カナダやモザンビークのプロジェクトからLNGを調達する予定です。
─ 一方で、長期的には脱炭素への対応が求められます。そうなると、LNGの位置づけはどう考えていきますか。
内田 私が以前から申し上げていることは、今日、明日に脱炭素社会が実現するわけではないということです。いきなり全てのエネルギーが再生可能エネルギーに替わるわけではありません。必ずエネルギーのトランジション期(移行期)はありますので、このトランジション期に徹底した低炭素化を進めていくことが重要です。
そう考えたら、トランジション期のエネルギーとして、天然ガスは非常に大きな役割を果たします。まずは、石炭や石油から天然ガスに切り替えることで、低炭素化を進めるべきです。加えて、そうは言っても天然ガスがCO2(二酸化炭素)を排出することは事実ですから、証書を活用してクレジットでCO2を相殺(カーボン・オフセット)したLNGをお使いいただいたり、CO2を資源として利活用する「CCU技術」やCO2を回収して地下貯留する「CCS技術」の開発を進めたりしています。
こうした取り組みを通じ、天然ガスを使いつつ、より低炭素を実現し、脱炭素に近づけるという考えです。
─ 移行期のエネルギー政策は非常に大事なことですね。
内田 はい。移行期に徹底した低炭素化を進めることに並行して、脱炭素に向けた技術開発を進めていきます。この究極形が、水素と二酸化炭素から都市ガス原料となるメタン(合成メタン)をつくる「メタネーション」です。メタネーションの社会実装が実現するのは30年代だと思います。これにより、CO2が循環することになりますので、脱炭素社会に近づくのではないかと考えています。
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