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『東京ガス』次期社長に笹山晋一副社長 戦後初の理系出身社長が誕生へ

財界オンライン / 2023年1月12日 7時0分

笹山晋一・東京ガス副社長(左)と内田高史社長

移行期のエネルギー確保と脱炭素化をどう両立させるか 
「ガス・電気に次ぐ事業の柱をスピード感を持って育て、変化に柔軟に対応できるポートフォリオ型経営を推進していく」 

 こう語るのは、東京ガス副社長の笹山晋一氏。 

 東京ガスが4月1日付で笹山氏が社長に昇格する人事を発表。社長の内田高史氏は6月の株主総会後に会長へ、会長の広瀬道明氏は相談役に就任する。 

 笹山氏は1962年岡山県生まれの60歳。86年東京大学工学部卒業後に同社入社。戦後では初の理系出身社長である。 

 データ分析などのIT部門や企画畑が長く、16年から始まった電力小売自由化の前から料金メニューなどの営業戦略を構築。300万件を超える顧客獲得に貢献するなど、社内では「電力事業の立役者」として知られる。 

 16年執行役員、18年常務、20年専務、22年副社長。現在は同社初のCSO(最高戦略責任者)として、グループ全体の戦略を統括し、23年度から始まる次期中期経営計画の策定に向け、陣頭指揮をとっているところ。 

 ただ、今後の同社を取り巻く環境は厳しい。 

 17年のガス小売自由化により、ガス販売を巡る競争は激化。足元ではロシアによるウクライナ侵攻の影響もあって、石炭やLNG(液化天然ガス)などの資源価格が高騰し、新電力の倒産が相次ぐなど、経営環境が激化している。 

 また、LNGは石炭や石油に比べて燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量が少ないのが最大の特徴だが、今後は世界的な脱炭素化の流れを受けて、CO2を排出しない再生可能エネルギーの開発を強化することが同社の課題になっている。 

 このため、同社は当面、エネルギーのトランジション期(移行期)に徹底した低炭素化を進めつつ、将来的には水素と二酸化炭素から都市ガス原料となるメタン(合成メタン)をつくるメタネーション技術の開発に取り組んでいる。 

「社会課題の解決と当社グループの持続的な発展を実現することが、わたしの使命」と話す笹山氏。移行期のエネルギー確保と安定供給、そして、将来的な脱炭素化をどう両立させるのか。笹山氏に課された課題である。

【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅

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