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【財務省】防衛増税実施時期は先送り「安倍派」に対して守勢に

財界オンライン / 2023年1月13日 7時0分

政府は12月16日、2023年度からの5年間の防衛費を現行の1・5倍超となる総額43兆円とする方針を明記した安全保障3文書を閣議決定。防衛費を巡る政府内調整では、当初は防衛省が48兆円、財務省が30兆円台半ばをそれぞれ主張したが、43兆円での決着は、岸田文雄首相が5月の日米首脳会談で「防衛力を抜本的に強化する」と公約したことを踏まえ、防衛省の要望が反映されたものといわれる。

 12月20日の閣議後会見で、鈴木俊一財務相は「防衛力の抜本的強化が達成でき、自衛隊がしっかり役割を果たせる内容を踏まえ決定した」と強調した。

 ただ、与党税制調査会は23年度税制改正大綱に防衛費増額の税財源として法人、所得、たばこの3税の増税を明記した一方、閣僚や自民党の一部幹部が増税に反発したのを受けて実施時期は盛り込まず、23年以降に先送りされた。増税対象の税目を決めながら実施時期が示されないのは極めて異例だ。

増税を批判し、国債発行で防衛財源の一部を賄うべきとの主張が目立つ、自民内最大派閥の安倍派に対し守勢に回った印象は否めない。

 与党税調は23年春から議論を再開する方向だが、一方で、自民党は政務調査会の下で年明け早々に「税以外の財源」のあり方について議論に着手する予定で、増税の是非を巡る自民内の対立が再び激化するのは避けられない情勢だ。

 鈴木氏は税調の議論再開に関し「今後なし崩し的に国債発行などで財源を埋めるということはない」と牽制したが、政権支持率が続落する中、増税議論がどこまで進むかは見通せない。防衛費の増額規模が先行し、財源探しは道半ばのままでは、結局ツケは国民に回ることになる。23年も鈴木氏の手腕が求められる場面は多そうだ。

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