熊本に半導体新工場を建設 『ソニー』が数千億円の一大投資
財界オンライン / 2023年1月16日 7時0分
ソニーグループ(吉田憲一郎会長兼社長)が熊本県合志市に半導体の新工場を建設する検討を進めていることが明らかになった。スマートフォンなど向けの画像センサーの生産能力を増強する狙いで、2025年度ごろの稼働を目指しているもようだ。投資額は数千億円とみられている。
新工場の立地には、九州で効率的なサプライチェーン(供給網)を構築したい考えが透ける。合志市は、半導体事業を手がける関連会社の既存工場である熊本テクノロジーセンターや、台湾積体電路製造(TSMC)の子会社JASMが建設中の新工場が所在する熊本県菊陽町に隣接している。ソニーはJASMに出資しており、同社から画像センサーに必要なロジック半導体を調達する見通しだ。
ソニーグループはスマホのカメラなどに使うCMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーのシェアが21年度に43%で世界首位を誇る。だが近年は、米中対立の激化に伴って中国・華為技術(ファーウェイ)向けの出荷が減る「ファーウェイショック」(清水照士ソニーセミコンダクタソリューションズ社長)が直撃。
韓国サムスン電子をはじめとする海外勢の追い上げも影響し、ソニーはシェアを落とす傾向にあった。
そうした中で清水氏は6月、25年度に世界シェアを60%にする目標を堅持する方針を示していた。この目標はモバイル向け画像センサーの技術開発の強化や既存生産拠点の拡張などで達成を図る考えだが、今般の合志市での新工場建設計画は、さらに先を見据えた施策と言える。車載やIoT(モノのインターネット)機器向けなどの需要増を取り込めれば、長期的なシェアの確保にもつながる。
ただ、経済安全保障の観点からも半導体の重要性は高まっており、世界で投資競争が激しさを増す。TSMCは最先端半導体の米国生産に乗り出している。今回のソニーグループの新工場計画は同社の気概を感じさせるものではあるが、製造品質も含めて競争力を向上できるか試される。
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