資金調達で正念場の楽天、信用力低下で債券利回り急騰
財界オンライン / 2023年2月8日 11時30分
金融子会社の上場が市場環境悪化で叶わず
楽天グループは2022年12月期に4期連続で最終赤字になるのが必至な情勢だ。新規参入した携帯電話事業で契約者数が伸びない一方、通信ネットワーク整備に引き続き巨額の設備投資を強いられていることが響いている。
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財務状況の悪化に伴う信用力の低下と、米国を始めとした世界的な金利上昇で資金繰りは厳しさを増す。株価も22年始めに比べて半値近い600円前後に落ち込んでおり、日本のネット企業の象徴的な存在である楽天の経営は正念場を迎えている。
「これほどの高利の社債を発行しなければならないほど、資金繰りが厳しいのか」─。市場関係者の一部からは、こうした声が漏れる。
楽天が昨年11月に発行した年限2年のドル建てディスカウント債の利率(割引分も加味した最終的な利回り)が約12%となり、1年に起債したドル建て債(利率3%台)を大きく上回る水準となった。
それでも携帯事業の設備投資資金がなお必要な楽天は年明け、同様の条件で4.5億ドル(約590億円)分のドル建て債を追加発行することを決めた。このほか、国内では22年6月(1500億円)に続く個人投資家向け社債(総額2500億円)の発行も準備している。
有利子負債(22年9月末時点、金融事業を含む)が2兆7337億円に膨らむ中、楽天は当初、22年中にグループの楽天銀行や楽天証券を新規上場させて資本性資金を取り込み、財務体質を改善しようとしていたが、米国を中心に金融引き締めが加速する中、株式市場は不安定化し、早期の上場はかなわなくなった。このため、高利の社債発行など借入金に頼る状況となっている。
10年近く続いた「金利のない世界」が終焉を迎える中、資金繰りに苦労するのは楽天に止まらない。ユニコーン株バブルの崩壊で「10兆円ファンド」の運営が事実上、暗礁に乗り上げた孫正義氏率いるソフトバンクグループから、コロナ禍の需要蒸発で過剰債務を抱えた運輸や観光業、中小企業まで、債務返済の負担が重くのしかかる。経営者達は時代の転換点をどう乗り切るか。
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