【追悼】セコム創業者・飯田亮さんを偲ぶ
財界オンライン / 2023年1月29日 11時30分
「不況とは、世の中の変わり目ですからね。そこにチャンスがある」─。時代の変わり目、転換期こそ新しい事業を興すチャンスという人生観。
セコム創業者・飯田亮さんが心不全のため亡くなった。享年89。大往生であった。
1962年(昭和37年)、日本初の警備保障会社、日本警備保障(現セコム)を設立。日本に警備保障という新しいサービスを持ち込んだのが飯田氏であった。時に29歳。
起業時は第一回東京五輪(1964年)の2年前で、日本は高度成長の真っ只中。警備の仕事はたちまち脚光を浴び、「ザ・ガードマン」というテレビドラマにもなった。
「安心はタダ」と思われていた時代に「安心・安全を確保するにはコストがかかるし、これは優良なサービスになる」と確信。
「時代が変わる」という時こそ、ビジネスを興すチャンスという氏の人生観であり、経営観である。
東京・日本橋の酒問屋『岡永』の5人兄弟の末っ子。幼少期、駅のホームで疲れてしゃがんでいたら、父親に「男の子ならシャキっとしろ」と活を入れられた。仕事の原点は、この時の体験にあると語っていた。
1933年(昭和8年)生まれで、世代的には牛尾治朗氏(ウシオ電機創業者・1931年生まれ)や稲盛和夫氏(京セラ創業者・1932年生まれ)と同じ世代。3人とも自らの仕事は自らの手でつくるという思いが強烈という点で共通する。
もっと言えば、官(政府)に頼らず、民間の力で新しいビジネスを興そうという考え方だ。
戦後、高度成長を遂げた日本も1990年代に入ると、バブルが弾け、構造不況に陥る。
90年代は〝失われた10年〟と言われ、それが今も続き、〝失われた30年〟と言われるようになった。そうした閉塞感も漂う転換期に、飯田氏は保険や医療、介護などの事業に乗り出す。
2000年に介護保険法が施行され、一斉に民間の介護ビジネスが始まるが、業績は芳しくない時期が続いた。厳しい時にも、飯田氏は「多様な選択肢が必要」と訴え続けた。
いいサービスを提供するには、ある程度高い料金も必要になる。
「それぞれの企業が違った内容のサービスを、違った料金で提供し、あとは消費者が選べばいい。選択肢をもっと増やすべきなんです」と、介護保険があって、その上に上乗せするようなサービスがあっていいという考え方を示してきた。
官にお願いして、何かやってもらうというのではなく、「大事なのは、世の中から好ましいと思われることをやる」という氏の信念。起業家精神溢れる人であった。 合掌
追悼・出井伸之さん(元ソニー会長)
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