【農林水産省】農産物輸出の拡大を狙い イスラエルとのEPAを検討
財界オンライン / 2023年2月14日 11時30分
政府は、イスラエルとの経済連携協定(EPA)の締結を検討するため、両国の産学官の関係者で構成する共同研究の場を立ち上げることを決めた。好調な農林水産物・食品の輸出拡大に弾みをつけるのが狙い。日本車にかかる関税の撤廃も目指し、競争力を高めたい考えだ。
イスラエルは人口が1000万人未満の小国であるが、富裕層が多い。EPA締結が実現すれば、日本が競争力を持つ和牛やブドウなど高級果実の輸出促進につながる。30年に農林水産物・食品の輸出額を年間5兆円に引き上げるとの政府目標の達成に後押しとなりそうだ。
これまで自民党農林族議員は、新たなEPAを結ぶことに強い抵抗を示してきた。安価な農産物が大量に流入し、競争にさらされる日本国内の生産者が打撃を受けるというセオリーが定着していることが背景にある。
ただ、イスラエルが輸出拡大を狙うとみられる品目はかんきつ、ジュースなどに限られるため、農林族は国内生産者への影響は回避できるとみている。農林水産省幹部は「攻めの農政を進める」と意気込む。
EPAのもう一つの焦点は、韓国と競合する乗用車の関税の取り扱いだ。昨年12月に発効した韓国とイスラエルのEPAでは、韓国産乗用車の関税を即時撤廃した。一方、日本産乗用車には7%の関税がかけられたまま。自動車業界は日本政府に関税撤廃交渉など対応を求めている。
日本がイスラエルと検討するEPAは、地政学上の意義も大きい。民主主義や法の支配など基本的価値観を共有するイスラエルと経済を軸に関係を深めることにより、世界中で影響力を行使する中国をけん制する思惑もある。
この他、日本政府はバングラデシュともEPA締結に向けた共同研究の場を設けることを決定。富裕層をターゲットにした農林水産物・食品の市場開拓に加え、バングラデシュ産の衣料品を引き続き無税で日本へ輸入できるよう対応を検討する。
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